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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  (2)高感受性期と低用量問題
胎生期・新生児期・思春期問題には、低用量問題とのリンクを示すデータが少なからず見いだされている50。それらを、核内もしくは膜の受容体を介しての生体影響と考える考え方が示されている51
これに対して、無処置の成体が検知できない用量オーダーにおける“新しい概念の影響”として、@ 閾値問題、A 非線形の用量相関、あるいは B 相加反応などの問題を見直すことが必要との考え方もある。内分泌かく乱化学物質の危惧の指摘された物質の生体影響研究では、影響メカニズムの解明が困難にもかかわらず、確認や追試の必要の生じること
が少なくない。これに伴って、経過を追った系統的な情報収集の継続も必要である。
注)米国医薬食品局(FDA)52,53や、同じく米国EPA54の研究者らによって非線形反応性が確認されるとともに、英国の研究者らも低用量域に限局的ながら相加反応について一端の実験的事象を報告している55。これは、形態形成期である胎生期に特発的に影響する胎生期ウィンドウ現象とリンクするものと信じられている56

(3)生体影響の焦点−高次生命系
EDCs が高次生命系に与える影響は、生体作用影響研究の焦点となりつつある57。生理学的な知見に関しても未知の点が多く、しかも端緒的に明らかになっているこれまでに明ら かになりつつあるEDCs 関連の知見から見るならば、引き続き、免疫系、甲状腺-中枢神経系・行動などの領域についてのさらなる検討を進めることが必要と考えられる。
注)グローバルアセスメントの免疫系の記載は不十分であり、補充の必要がある。併せて、各種受容体結合域上流のスズやヒ素などによるxenobiotic element を介した免疫系シグナルへの修飾が、これらの複合作用の背景にあるものと考えられている。

 
50 Rajapakse N et al. Combining xenoestrogens at levels below individual no-observed-effect concentrations dramatically enhances steroid hormone action. Environ Health Perspect, 110: 917-921, 2002. グローバルアセスメントでも指摘されたとおり、新生児では系によって不可逆反応としての変化が観察されている。
51 厚生科学研究(井上班)報告参照
52 Guo TL, White KL Jr, Brown RD, Delclos et al. Toxicol Appl Pharmacol. 181: 219227, 2002.
53 脚注30 参照。
54 G. Ankley: Personal communication.
55 Rajapakse N et al.Environ Health Perspect 110: 917-921, 2002./ Silva E et al. Environ Sci Technol 36: 1751-1756, 2002.
56 脚注47 参照。厚生科学研究(井上班)報告。新生児期マウスの膣のエストロゲン作用臨界期は生後3日にあり、この時点でのDES 投与後の影響がマイクロアレイ法を用いて解析されている。DES の投与により、上皮組織でのエストロゲン応答遺伝子(ER) のリン酸化を介したEGF 様成長因子-erbB 受容体系の活性化、引き続くMAPK やAkt などの系のリン酸化とそれに伴うAF-1 領域のリン酸化に至るエストラジオール非依存性のアクチベーションループが形成されることが、受容体阻害剤などを用いて示されている。
57 ホルモンの概念は、すでに生物学的には細胞によって血中に放出されるサイトカインを含む生体内すべての細胞機能に拡張されており、その受容体を有する組織は、EDCs の対象となる蓋然性をもつ。高次生命系は総じて記憶の仕組みを含む情報伝達システムを保持しており、免疫系の影響、神経・行動系への影響が焦点となるものと認識される。異物代謝との複合影響なども、取り残された研究課題である。

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