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LastUpdate:2016/3/31
 
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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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   多くの化学物質の暴露で神経発達など次世代影響がもっとも鋭敏であることは多くの動物実験でも指摘されているので、妊婦や乳幼児を対象とした人集団での研究、特に胎児期の暴露にも焦点をあてた長期的なコホート研究が望まれる。わが国では、母子手帳の交付をはじめ、数多くの新生児期のスクリーニングなど、すぐれた母子保健の制度がすでに全国的に確立されているので、それらを積極的に活用した大規模な長期的な縦断研究がなされれば諸外国をリードする数多くの知見がえられる可能性がある。胎児期の正確な暴露評価をおこなうこと、生後の発達データとのリンク、など倫理面に配慮した組織だった疫学研究が重要である。
 一方、尿道下裂や停留精巣などについては、十分な対象数を確保した上で、前述のコホート研究のエンドポイントの一つとして検討することが望まれるが、コホート研究では十分な症例数を得られない事が予想される。したがって、これらの疾患については、症例対照研究による対応も必要である。北欧諸国では分娩時の段階で、症例とその前後に生まれた新生児(対照群)に対し、同じ調査表で環境要因をはじめとするリスク要因について、生下時の登録と原因究明の体制が整っている。特に、児が大きくなってからの両親への調査では、記憶のバイアスなど、原因の解明には多くの難しい問題が生ずる。
 現在、厚生労働科学研究費補助金(化学物質リスク研究事業)による一つの研究班において、母が妊娠中から立ち上げる前向きコホート研究が開始されているが、本問題の重要性をかんがみて、器官形成期の化学物質の暴露濃度測定を含めた新たなコホート研究を、小児神経発達の評価を含めた長期的な展望にて開始することが望まれる。

 ・男性生殖機能への影響に関する疫学研究
 化学工場の爆発事故や労働作業場での突発事故等による高濃度の化学物質暴露に伴う生殖機能障害の事例については、いくつかの文献が認められた。しかしながら、通常の生活環境において、有機塩素系化合物などの化学物質が生殖機能へ影響を及ぼしているのか否かについては、ほとんど検討されていない。特に、精液所見などの男性生殖機能への影響については、その手技が統一されていない事に加えて、個人内での変動も大きいために、時代間の推移や地域間の差異などの基本的情報について際も、信頼出来るデータが存在しない。今後、地球規模での統一したプロトコールに則った継時的なデータの集積が必要である。現在、Skakkebeak らを中心とした国際共同研究に、日本も参加し、厳密な精度管理の下に、精子濃度や精子運動率の比較調査が実施されているが、更に、化学物質暴露との関連を検証するための断面研究や地域相関研究などの疫学研究に発展させて行く事が望まれる。一方で、精液検査は手間と人手を多く必要としており、生殖機能低下の指標としては必ずしも適切ではない。したがって、疫学研究を推進するためにも、新たな生殖機能をあらわすバイオマーカーの開発が極めて重要である。
 現在、厚生労働科学研究費補助金(化学物質リスク研究事業)による研究班において、生殖機能への影響に関する断面研究やバイオマーカーの開発が開始されているが、さらなる研究が実施されることが望まれる。

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