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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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   中国の殺虫剤製造工場におけるフェンバレレート職業精暴露に関する症例対照研究(Tan ら、2002)、スペインにおけるコリンエステラーゼ阻害剤系殺虫剤の職業性暴露の症例対照研究(Marmol-Maneiro ら、2003)においては、いずれも農薬暴露が精子数と精子運動能に影響するという結果であった。Koifman ら(2002)による疫学的地域相関研究では、ブラジルの11 州における1980 年代の農薬暴露量(農薬販売量)と1990 年代の生殖器系アウトカムについての集団データを調査し、農薬を暴露した集団での乳癌、卵巣がん、精子の質低下、前立腺癌、精巣主要等の生殖器系障害との関連を示した。Juhler ら(1999)は、「有機農法によって生産された農作物を摂取している農業従事者は、農薬の暴露が少ないために精液の質が高い」という仮説を検証する目的で、デンマークの農業従事者から食生活に関するデータと精液所見を得た。対象者を有機農作物の生産率に応じて3つのグループに分けて比較したところ、グループ間で40 種類の農薬の使用量に差が認められたが、精子濃度に有意差はなかった。しかし、最も有機農産物の生産率の低いグループにおける精子正常形態率が有意に低いことが示された。
 Swanら(2003)は、アメリカ合衆国のミズーリ、ミネソタ両州における疫学調査(Study for Future Families Research Group)参加者した妊婦の配偶者の男性を対象にした症例対照研究(精液の質の高い群と低い群を比較)において、精液パラメータと現在用いられている除草剤アラクロル、アトラジン及びダイアジノン系殺虫剤IMPY などとの関連性について検討し、これらの農薬がミズーリ州中部の妊孕性のある男性における精液の質の低下に関連していることを示した。この研究は、人口ベースの研究としては、農薬の環境暴露の精子への影響を示した最初の研究である。暴露源については不明であるが、最も可能性が高い原因として生活用水を挙げている。
 農薬暴露と精子の質との間に関連を認めなかった文献が3 件あった。Tomenson ら(1999)は、稲作の除草剤モリネート(thiocarbamate herbicide)の男性生殖機能への影響を評価する目的で、アメリカ合衆国3 か所のモリネート生産加工プラントに勤務する男性を対象に断面研究として精液検査及び血清中のホルモン検査を行ったが、精子及び内分泌ホルモンのレベルがモリネートの暴露レベルと相関して変化する傾向は見られなかった。農薬使用の有無によって集団を2 群に分けて精子染色体の異数性頻度を比較したアメリカ合衆国の断面研究(Smith、2004)では、両群間で差を認めず、農薬散布が精子染色体の数の異常のリスクを増大させないと結論している。また、南アフリカMalaria Control Center 近隣在住の労働者を対象としたDDT の環境暴露に関する断面研究(Dalvie、2004)では、血中のDDT 濃度は精液量、精子濃度、総精子数、精子運動率、精子正常形態率のいずれのパラメータとも有意な関連を認めなかったとしている。

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