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[研究結果]
1.Polichlorinated biphenyls (PCB)
Mol(2002)らは、出生前PCB 暴露と男児の性分化への影響を検討した。1986 年3
月から21ヶ月間にデンマークにおける3 カ所のフェローの病院で出生したコホート群からの196 例の男児に対して、14
歳時における青少年期発達を調べた。朝採取した尿サンプル中の精子(精液尿)の存在と、二次性徴(ターナー指数)、精巣サイズ、性ホルモン濃度、さい帯血中のPCB
濃度を分析したところ、精液尿は思春期発達に対するマーカーと関連を示したが、出生前PCB
暴露との関連はみられなかった。また、196 例中、20 例に精巣発達の異常(停留精巣19 例、精巣回転症1
例)が認められたが、さい帯血中のPCB 濃度は、異常の認められた20 例(平均1.99ng/g)と異常のない176
例(平均1.85ng/g)で有意な差は見られなかった。
2.1,1-dichloro-2,2-bis(p-chlorophenyl)ethylene (p,p’-DDE)
Longnecker(2002)らは、1959-66 年におけるCollaborative Perinatal Project
からコホート内症例対照研究において、停留精巣219 例、尿道下裂199 例、多乳頭症167 例を症例群として、対照群552
例と比較した。ガスクロマトグラフィー回収率で補正した母親の血清中DDE
濃度を4分位し、濃度が最も低い群(<21.4μg/l)を基準(reference)とした場合、最も高い群(≧85.6μg/l)における、停留精巣、尿道下裂、多乳頭症の、人種・トリグリセリド値・コレステロール値で補正したオッズ比は、各1.3(95%CI=0.7-2.4)、1.2(95%CI=0.6-2.4)、1.9(95%CI=0.9-4.0)となり、有意な関連が見られなかった。
3.その他の有機塩素化合物
Hosie(2000)らは、ドイツにおいて、脂肪中における有機塩素化合物26 種類の蓄積量を、停留精巣患者18
人(平均年齢4.2 歳)とコントロール30 人(平均年齢3.5 歳)で計測し、比較した。その結果、停留精巣患者においてHeptachlore-epoxide
(HCE)(P=0.009)、Hexachlorobenzene
(HCB)(P=0.012)が高濃度に蓄積されていた。その他の物質に関しては、有意な関連が認められなかった。 |