オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのノロウイルス関連情報
https://www.rivm.nl


オランダの胃腸感染症および人獣共通感染症サーベイランスの2020年次報告書
Annual report on gastrointestinal infection and zoonoses surveillance
25-11-2021
https://www.rivm.nl/publicaties/jaarrapportage-surveillance-gastro-intestinale-infecties-en-zoonosen

(食品安全情報2022年4号(2022/02/16)収載)


 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、オランダの胃腸感染症の罹患率に関する調査を毎年計画的に行っている。今回、すべての胃腸感染症に関するデータが初めて1つの報告書に集約された。2020年は、胃腸感染症の報告数が2019年までと比べ大幅に減少した。この現象は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)対策として講じられた措置に起因すると考えられる。

 カフェやレストランの営業停止、社会的なイベント(ケータリングを含む)の減少、国外旅行の規制、社会的距離の確保、および衛生意識の向上(手洗い等)により、ヒトと病原体の接触機会が減少した。また別の要因として、新型コロナウイルス危機により胃腸感染症の患者が医療支援を求めにくくなったことが考えられる。

 2020年は、ノロウイルスおよびロタウイルスの感染患者数が2019年までと比べ特に減少した。両ウイルスは主にヒト−ヒト感染により拡散する。また、サルモネラ症やカンピロバクター症などの食品関連感染症も大幅に減少した。リステリア(Listeria monocytogenes)への感染により発症するリステリア症の患者数は変わらなかった。L. monocytogenesは、燻製魚、チーズ、および保存可能期間が長い食肉製品から検出されることが多い。主に水や泥との接触を介して感染するレプトスピラ症も、患者数に変化は見られなかった。

 2020年は、胃腸感染症の全体的な減少は顕著であったが、重要なアウトブレイク事例はいくつか検出された。アウトブレイクでは単一の感染源により複数の患者が発生する。2020年に発生したアウトブレイクの例としては、ケータリング業者が提供したトルコ風ピザの喫食により障害者施設1カ所で発生したサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイクが挙げられる。船上ビュッフェに関連してノロウイルスによる大規模アウトブレイクも発生した。また、食品(トラウト切り身、ウナギ、ソフトチーズ)に関連した3件の小規模なリステリア症アウトブレイクも発生した。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部