世界保健機関(WHO)からのノロウイルス関連情報
https://www.who.int/en/


国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2021年第3四半期報告(2021年7〜9月)
INFOSAN Quarterly Summary, 2021 #3, July - September 2021
10 November 2021
https://www.who.int/news/item/10-11-2021-infosan-quarterly-summary-2021-3

(食品安全情報2021年26号(2021/12/22)収載)


食品安全事例

 2021年の第3四半期に国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局が対応した食品安全事例は、世界保健機関(WHO)加盟の延べ63の国・領土が関連した計65件であった。このうち生物的ハザード関連の事例は46件で、その内訳は、サルモネラ属菌が20件、リステリア(Listeria monocytogenes)が11件、大腸菌が4件、セレウス菌、A型肝炎ウイルス、ノロウイルス、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)が各2件、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、黄色ブドウ球菌が各1件であり、残りの1件については生物的ハザードが不明であった。また、物理的ハザード関連の事例は9件(ガラスが4件、プラスチックが2件、缶の不良、異物、ナイフが各1件)、非表示のアレルゲン/成分に関連した事例は7件(乳が3件、大豆が2件、ゴマ種子、グルテンが各1件)、および化学的ハザード関連の事例は3件(ヒスタミンが2件、クロルピリホスが1件)であった。

 INFOSAN事務局が本四半期に対応した上記65件の事例に関連した食品カテゴリーは、魚・水産食品(13件)が最も多く、次いでハーブ・香辛料・調味料(8)、食肉・食肉製品(8)、野菜・野菜加工品(8)、乳・乳製品(6)、スナック・デザート・その他の食品(5)、果物・果物製品(4)、複合食品(3)、シリアル・シリアルベース製品(2)、果物・野菜ジュース(1)、豆類(1)、ノンアルコール飲料(1)、ナッツ・油糧種子(1)、栄養補助食品(1)であり、残りの3件については原因食品が不明であった。

 INFOSAN事務局が対応した食品安全事例の件数は2021年の第1〜2四半期に大幅な増加を記録した。この増加傾向は持続しており、本四半期に対応した事例件数は過去最多の65件に達した。INFOSANのメンバーおよび協力機関の積極的な関与により、これらの食品安全事例の45%が欧州委員会(EC)の「食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF)」を介して、40%がINFOSAN加盟各国の緊急連絡窓口(ECP)および情報連絡窓口(FP)を介して、また15%がWHOの様々な経路を介してINFOSAN事務局に報告された。

 INFOSAN事務局の対応能力の向上は、より広範な食品安全事例へのより効率的な対応を可能にし、加盟国からの要望や要請に対する事務局の的確な対応に結び付いている。


地理的状況

 上記65件の食品安全事例には、WHO加盟の延べ63の国・領土が関連した。本四半期に事例を報告した加盟国の地域別内訳は、欧州(20/53カ国)、西太平洋(9/27カ国)、東地中海(9/21カ国)、アフリカ(8/47カ国)、米州(6/35カ国)、および南東アジア(3/11カ国)であった。

〇 メロンの喫食に関連した可能性がある複数国にわたるサルモネラ(Salmonella Braenderup)感染アウトブレイク事例に関する調査の終了および結論

 12カ国から計300人以上の患者が報告されたサルモネラ(Salmonella Braenderup)感染アウトブレイクの調査は終了した。本アウトブレイクの感染源はホンジュラス由来のガリアメロンである可能性が最も高いと判断された。アウトブレイク調査の最終段階として、ホンジュラスのECPが、ホンジュラス国内の関連施設で特定された危害となる可能性があるすべての項目のリスク評価結果、および当該施設で実施された改善措置・予防措置に関する包括的な調査結果を盛り込んだ詳細な報告書をINFOSAN事務局に提出した。

 この報告書によると、ホンジュラス国内のガリアメロン包装施設1カ所において、洗浄タンク表面由来1検体からアウトブレイク株と一致するS. Braenderupシークエンスタイプ(ST)22が検出され(WGS(全ゲノムシークエンシング)解析で確定)、当該洗浄タンクが汚染源であると確認された。更なる汚染を防止するため当該施設内で改善措置が講じられた。

 ホンジュラスの当局は、2021年7月にデンマークで新規患者1人が報告され、当該期間にホンジュラスからガリアメロンは輸出されていないことから、本アウトブレイクの感染源がホンジュラス由来のガリアメロンであるとは確定できないとしている。

 加盟各国間で調査に関する情報共有を円滑に行うため、INFOSANのコミュニティウェブサイトにディスカッションスレッドが設置された。

 上記の食品由来疾患のような国際的なアウトブレイクは、INFOSANへの積極的な参加の重要性を浮き彫りにしている。本アウトブレイクでは、関係各国間の強力な国際協調および早期の情報共有(WGS解析の結果など)により、可能性のある感染源の特定が可能となった。本アウトブレイクの発生中は、各国の調査に関する情報がINFOSANを介して迅速に共有されるようINFOSAN事務局が支援し、潜在的リスクの低減策を早急に実施することができた。

 INFOSAN事務局は、引き続きこのような国際的な連携を促し、関係各国のECPによる協力に対し謝意を示していく。


ニュースおよびその他の活動(タイトルのみ一部を紹介)

〇 INFOSANの能力開発活動

  • 食品安全上の緊急時におけるリスクコミュニケーションに関するINFOSANのオンラインワークショップ(2021年9月16〜17日)

  • ブータン当局と共同でのCodex活動支援ワークショップ「コーデックス規格の策定過程でリーダーシップを発揮するために」(2021年9月20〜22日、ブータン)

  • INFOSANの「Train-the-trainer(指導者育成)」ワークショップ

  • 世界の食品安全事例および緊急時対応に関する国際会議(2021年10月13〜15日)


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部