(食品安全情報2021年2号(2021/01/20)収載)
食品はヒトの疾患の原因となり得る。2人以上が同じ食品を喫食後に同時期に疾患を発症する事例を「食品由来アウトブレイク(food-related outbreak)」と呼ぶ。オランダでは、2006〜2017年には食品由来アウトブレイク計4,155件および患者計21,802人が登録された。2018年にはアウトブレイク756件および患者2,805人、2019年はアウトブレイク735件および患者3,058人が報告された。2017年までと同様、食品由来アウトブレイクで最も多く報告された病原体は依然としてノロウイルスであり、2018〜2019年はサルモネラ、カンピロバクターがこれに続いて多く報告された。
これらの数値は、オランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)および地方自治体保健サービス当局(GGDs)からの報告に基づいている。両機関は、さらなる患者の発生およびアウトブレイクの発生を防止するため、食品由来感染症と食中毒の登録および調査を行っている。この目的のため、両機関は専門知識を駆使し、感染源および原因病原体の特定に取り組んでいる。NVWAは、食品の病原体汚染の有無、その食品の供給元、製造場所および流通地域の調査を行っている。GGDsは、汚染食品に曝露した人に焦点を当て、その情報から可能性がある汚染源の推定に取り組んでいる。
RIVMは、これら両機関のデータの統合・分析を行っている。この方法により、オランダの食品由来アウトブレイクの原因となる要因、発生頻度、経年的な変動・傾向に関する見解が得られる。本報告書に記載されている数値は、食品由来アウトブレイクの実際の発生件数および患者数が過小評価されたものと考えられる。その理由として、特に、患者が一般診療医(GP)の受診やNVWAへの報告を必ず行うとは限らないこと、また、汚染食品が感染源であったかどうかが必ずしも明らかになるとは限らないことが挙げられる。