(食品安全情報2020年1号(2020/01/08)収載)
米国食品医薬品局(US FDA)は、冷凍ベリーのサンプリング調査において、2019年6月30日までに国産品253検体および輸入品320検体の検査を行った。FDAは、ソフトフルーツ中のA型肝炎ウイルスおよびノロウイルスの検出法として複数の検査機関で検証済みのRT-qPCR法を使用し、採取された冷凍ベリー検体のうち3検体からA型肝炎ウイルス、および7検体からノロウイルスの遺伝物質を検出した。これら10検体については、ウイルスゲノムのセクションを個別に解析することによりウイルスの遺伝物質の詳細な性状解析が可能かどうかを確認するため、サンガー法と呼ばれる別の塩基配列解析法を用いてさらに検査を行った。これら10検体のうち6検体はサンガー法により詳細な性状解析が可能であった。この調査はまだ進行中であり、現時点では結論が得られていない。
FDAは、2018年11月に冷凍ベリー類のサンプリング調査を開始し、この調査において計2,000検体の冷凍ベリーの検査を計画している。FDAは当初、一部の検体を小売店舗で採取していたが、陽性検体が採取された場合に当該製品の市場流通量を最小限に抑えるため、2019年7月初旬以降は小売店舗での検体採取を本サンプリング調査から除外し、流通段階での検体採取を優先した。
この調査の開始時から、FDAは、ソフトフルーツの検査でA型肝炎ウイルスおよびノロウイルスの遺伝物質を検出するための方法としてFDAが複数の検査機関で検証済みであるRT-qPCR法を使用した。この解析法が依然としてサンプリング調査の主要な検査法である一方、FDAは、RT-qPCR法により検出されたすべてのウイルス由来塩基配列の詳細な特性解析を行うため、2019年7月からサンプリング調査の通常検査としてサンガー法による解析も追加で開始した。
FDAは、検体からA型肝炎ウイルスやノロウイルスの遺伝物質を検出した場合、関連業者にその結果を通知し、公衆衛生保護のため協力して適切な対策を講じる予定である。その対策には、違反の是正・防止、必要に応じた違反製品の市場からの撤去などが含まれる。FDAは、2019年7月のサンガー法の導入に伴い、解析結果が得られた後に当該業者に製品の迅速な自主回収の実施を求めることにした。
冷凍ベリー(イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー)に関する微生物学的サーベイランスサンプリングの2019〜2020年の結果(2019年7月1日現在)は、以下のWebページから入手可能である。
Microbiological Surveillance Sampling: FY 19-20 Frozen Berries (Strawberries, Raspberries and Blackberries)
https://www.fda.gov/food/sampling-protect-food-supply/microbiological-surveillance-sampling-fy-19-22-frozen-berries-strawberries-raspberries-and