米国疾病予防管理センター(US CDC)からのノロウイルス関連情報
https://www.cdc.gov


メキシコ産カキに関連して複数州にわたり発生した胃腸疾患アウトブレイク(最終更新)
Multistate Outbreak of Gastrointestinal Illnesses Linked to Oysters Imported from Mexico (Final Update)
June 21, 2019
https://www.cdc.gov/vibrio/investigations/rawoysters-05-19/index.html

(食品安全情報2019年22号(2019/10/30)収載)


 米国疾病予防管理センター(US CDC)および複数州の公衆衛生・食品規制当局は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキに関連して複数州にわたり発生した胃腸疾患アウトブレイクを調査した。

 2019年6月21日までに、5州から計16人の患者が報告された(図)。本アウトブレイクの患者は、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、赤痢菌(Shigella flexneri)、O157以外の血清群の志賀毒素産生性大腸菌(STEC non-O157)、ビブリオ・アルベンシス(Vibrio albensis)、カンピロバクター(Campylobacter lari)、ノロウイルス(GI)などの病原体のうちの1種類に感染、または複数種類に混合感染していた。

図:1種類または複数種類の胃腸病原体アウトブレイク株に感染した患者(2019年6月21日までに報告された居住州別患者数、n=16)


 患者の発症日は2018年12月16日〜2019年4月17日であった。情報が得られた患者15人の年齢範囲は26〜80歳、年齢中央値は38歳で、60%が男性であった。情報が得られた患者15人のうち2人(13%)が入院した。

 全ゲノムシークエンシング(WGS)解析により、患者由来のC. lari 1株およびV. parahaemolyticus 5株にアンピシリンへの耐性が予測された。アンピシリンは、C. lari感染またはV. parahaemolyticus 感染の治療に推奨される抗生物質ではない。また、患者由来のS. flexneri 5株には、アンピシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシンおよびテトラサイクリンへの耐性が予測された。耐性に関する情報が得られる前に一般的に使用されるのは他の抗生物質であるため、これらの結果が治療に影響を及ぼす可能性は低い。患者由来のSTEC 1株に耐性は予測されなかった。一般に、STEC感染患者に抗生物質は推奨されない。

アウトブレイク調査

 CDC、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキに関連して発生した胃腸疾患患者を調査した。2019年3月29日、PulseNet(食品由来疾患サーベイランスのための分子生物学的サブタイピングネットワーク)により患者由来検体で遺伝学的に近縁なV. parahaemolyticusのクラスターが確認され、複数州にわたる調査が同日に開始された。

 疫学・追跡調査の結果は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardonで採捕された生カキが本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示した。複数州の公衆衛生当局は、当該採捕水域由来の生カキを喫食して発症した患者が他にもいることを特定した。FDAは、CDCが調査対象とした患者の一部について調査を行った。

 患者に対し、発症前1週間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査が実施された。聞き取り調査が行われた患者15人全員が、カリフォルニア州およびネバダ州の様々なレストランでの生カキの喫食を報告した。各州の公衆衛生当局がこれらの患者15人について追跡情報を収集した結果、生カキの出荷業者としてSol Azul社(バハ・カリフォルニア・スル州Mulege)が、採捕水域としてEstero El Cardonが特定され、当該製品は、カリフォルニア、ネバダ、ニューヨークおよびアリゾナの各州に出荷されていた。また、メキシコからの直輸入や米国内での再出荷により、その他の州にも当該製品が流通した可能性がある。当該製品は、レストランへの直接販売を行う卸売業者に出荷され、食料品店には出荷されていなかった。

 2019年5月6日、当該水域で採捕されたカキの米国での流通業者1社が自主回収を発表した(以下のWebページ参照)。
https://www.cdph.ca.gov/Programs/CEH/DFDCS/CDPH%20Document%20Library/FDB/FoodSafetyProgram/FoodRecalls/May%202019/fdbFrDC1n.pdf
翌7日に当該水域は閉鎖され、調査結果が出るまで採捕禁止となった。メキシコの公衆衛生当局の要請により、2019年4月最終週〜5月第1週に当該水域で採捕され、販売目的で流通しているすべての生カキの回収が開始された。当該水域は2019年6月13日に再開した。

 2019年6月21日時点で本アウトブレイクは終息したと考えられる。消費者、レストランおよび小売業者は、カキの取り扱い、加熱を常に適切に行うべきである。カキなどの貝類による食品由来疾患を予防するための助言がCDCの以下のWebページに発表されている。
https://www.cdc.gov/vibrio/prevention.html#cooking



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部