米国疾病予防管理センター(US CDC)からのノロウイルス関連情報
http://www.cdc.gov/


輸入食品に関連して発生した疾患アウトブレイク(米国、1996〜2014年)
Outbreaks of disease associated with food imported into the United States, 1996-2014
Emerging Infectious Diseases
Volume 23, Number 3-March 2017
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/23/3/16-1462_article
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/23/3/pdfs/16-1462.pdf

(食品安全情報2017年10号(2017/05/10)収載)


要旨

 米国では輸入食品の割合が上昇しつつあり、水産食品の大半および果物類の約半分が輸入品である。本調査により、輸入食品(特に魚や農産物)に関連した食品由来疾患アウトブレイクの発生件数が絶対数としては少ないものの徐々に増加していることが明らかになった。食品安全性維持の鍵となるのは、アウトブレイク調査のための新たな手法と連邦レベルでの規制の権限である。


調査内容

○方法

 米国疾病予防管理センター(CDC)の食品由来疾患アウトブレイクサーベイランスシステム(FDOSS)が運用を始めた1973年から2014年(データが入手可能な直近の年)までの期間に発生した輸入食品関連のアウトブレイクを特定するため、アウトブレイク報告のレビューを行った。一部のアウトブレイクについては、米国食品医薬品局(FDA)および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)から追加データ(原産国名など)を入手した。「食品安全分析に関する省庁間協力(IFSAC: Interagency Food Safety Analytics Collaboration)」により作成された図式に従い原因食品を分類した。原産国のグループ分けには国連統計部(United Nations Statistics Division)の分類法を用いた。調査対象期間について食品カテゴリー別および原産国別のアウトブレイク件数の記述的分析を行った。

○結果

 1996〜2014年に発生し、調査により輸入食品との関連が示されたアウトブレイクは計195件で、患者数は10,685人、入院患者数は1,017人、死亡者数は19人であった。輸入食品に関連したアウトブレイクは、原因食品が報告されたすべての食品由来疾患アウトブレイクに占める割合が上昇している(1996〜2000年の1%に対し2009〜2014年は5%)。輸入食品に関連したアウトブレイクの件数は、1996〜2000年の年平均3件から2009〜2014年は18件に増加した(図)。


図:輸入食品を原因とするアウトブレイクの件数および原因食品が報告されたアウトブレイクの総件数(米国、1996〜2014年)。


 輸入食品関連のアウトブレイクで最も多く報告された病因物質はサバ毒(ヒスタミン)およびサルモネラで、患者数が最も多かったのはサルモネラおよびサイクロスポラを病因物質とするアウトブレイクであった(表)。水生動物が輸入食品関連のアウトブレイクの55%およびアウトブレイク患者の11%の原因食品となっていた。他方、農産物は同アウトブレイクの33%およびアウトブレイク患者の84%の原因食品であった。水生動物を原因食品とするアウトブレイクでは患者数の中央値が3人であったのに対し、農産物によるアウトブレイクでは患者数の中央値が40人であった。サバ毒(ヒスタミン)を病因物質とするアウトブレイクでは1件を除くすべてで魚が原因食品であった。サルモネラアウトブレイクの77%が農産物に関連しており、その内訳は果物(14件)、有核野菜(10)、発芽野菜(6)、ナッツ・種子類(5)、香辛料(4)、およびハーブ(1)であった。

 原産地に関する情報が得られたアウトブレイクは177件(91%)であった。アウトブレイクに最も多く関連していた地域は中南米・カリブ海諸国で、次いでアジアであった。全部で31カ国が関連し、メキシコが最も多くのアウトブレイク(42件)に関連していた。その他の国で10件以上のアウトブレイクに関連していたのは、インドネシア(17件)およびカナダ(11件)であった。魚介類は欧州以外のすべての地域から輸入されていたが、アジアからの輸入が最も多かった(魚介類を原因食品とするアウトブレイクの65%に関連)。農産物はすべての地域から輸入されていたが、中南米・カリブ海諸国からの輸入が最も多かった(農産物を原因食品とするアウトブレイクの64%に関連)。乳製品によるアウトブレイクでは1件を除くすべてが中南米・カリブ海諸国からの輸入品に関連していた。

 今回の調査の対象となったアウトブレイクは全米31州から報告されたもので、特にカリフォルニア(30件)、フロリダ(25)、およびニューヨーク(16)の3州からの報告が多かった。43件(22%)は複数州にわたるアウトブレイクであった。


表:病因物質別および食品カテゴリー別に集計した輸入食品関連のアウトブレイクの件数および患者数(米国、1996〜2014年*)

* 病因物質に関するデータはアウトブレイク184件(患者数10,603人)について、食品カテゴリーに関するデータはアウトブレイク195件(患者数10,685人)について入手できた。
† テトロドトキシン(3件)、カンピロバクター、チャコニン、肺吸虫、その他のウイルス、亜硫酸塩、トリヒナ(各1件)
‡ 鶏肉料理、クラブケーキ、シュークリーム、ビール、小麦粉スナック(各1件)
**【編者注:原文では112となっているが11の誤りと思われる】



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部