(食品安全情報2015年24号(2015/11/25)収載)
報告書概要
2014年のオランダでの食品由来感染症および食中毒のアウトブレイク件数はそれまでの年に比べて少なかった。しかし、アウトブレイク1件あたりの患者数が増えたことにより、合計患者数は2013年より13%増加した。2014年はアウトブレイク件数が207件、患者が1,655人で、2013年はそれぞれ290件と1,460人であった。また、2014年にオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)に報告された散発性の食品由来感染症または食中毒の患者は242人であった。
以上が、オランダの食品由来感染症および食中毒に関する2014年の登録データの解析から得られた結果の一部である。それまでの数年と比較すると、2014年はノロウイルス感染アウトブレイクの件数が比較的多く、カンピロバクター感染アウトブレイクの件数が比較的少なかった。2014年のサルモネラ感染アウトブレイクの件数は2013年より増加したが、それでも2012年までの数年より少なかった。
登録データはNVWAおよび各自治体の保健当局から提供されたものである。2014年以降、すべてのデータはオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)の感染症管理センター(CIb)によって単一のデータセットとしてまとめられ、解析が行われている。この新しい統合的方法により、オランダの食品由来感染症および食中毒の発生状況と経時的傾向がより明確に把握できるようになった。しかし、本報告書に示されたデータは、食品由来感染症および食中毒の実際の患者数に比べ過少推定になっている。これは、多くの患者が一般診療医を受診せず、また、NVWAに報告しないためである。専門家は、汚染食品の喫食によるオランダの患者は毎年約680,000人に上ると推定している。
NVWAおよび各自治体の保健当局は、アウトブレイクの発生防止と公衆衛生保護のために、食品由来感染症および食中毒の患者の登録および調査を行っている。これらの機関は、それぞれの専門性にもとづき、可能性のある汚染源および原因病原体の特徴を明らかにすることに努めている。NVWAは食品およびその製造施設の調査を、各自治体の保健当局は汚染食品に曝露した人への聞き取り調査により可能性のある汚染源の追跡を行っている。