欧州食品安全機関(EFSA)からのノロウイルス関連情報
http://www.efsa.europa.eu/


非動物性食品中の病原体がもたらすリスクに関する科学的意見(パート2:鱗茎菜類およびニンジンにおけるサルモネラ、エルシニア、赤痢菌およびノロウイルス)
Scientific Opinion on the risk posed by pathogens in food of non-animal origin. Part 2 (Salmonella, Yersinia, Shigella and Norovirus in bulb and stem vegetables, and carrots)
EFSA Journal 2014;12(12):3937
19 December 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/3937.pdf (報告書全文PDF)
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3937.htm

(食品安全情報2015年2号(2015/01/21)収載)


 鱗茎菜類(bulb and stem vegetables)およびニンジンは、そのまま喫食可能な(ready-to-eat)製品とするために最小限の処理が行われる場合がある。これには、選別、洗浄、異物除去、カット、包装、貯蔵などの工程が含まれる。今回、フードチェーンの各段階での鱗茎菜類およびニンジンのサルモネラ、エルシニア、赤痢菌およびノロウイルスによる汚染について、それらのリスク因子が検討された。また、これらの野菜における上記病原体の推定汚染率、汚染低減対策の選択肢、および微生物規格基準(microbiological criteria)設定の妥当性が評価された。公衆衛生リスクに関連する種類の野菜(ニンジン、タマネギおよびニンニク)に重点が置かれている。

 各作物農場の環境は、鱗茎菜類およびニンジンの一次生産における病原体の汚染および生残に影響を及ぼす可能性がある複数のリスク因子の固有の組合せを表していると結論づけられた。鱗茎菜類およびニンジンの生産者は、適正農業規範(GAP)、適正衛生規範(GHP)、適正製造規範(GMP)などの食品安全管理システムの適切な実施を第一の目的とすべきである。これらの野菜の一次生産および最小限の処理工程における上記病原体の汚染率および公衆衛生リスクに関するエビデンスが不十分であるため、微生物関連の衛生規格基準(Hygiene Criteria)、工程衛生規格基準(Process Hygiene Criteria)または食品安全規格基準(Food Safety Criteria)の設定が公衆衛生に及ぼす影響について結論を下すことはできない。鱗茎菜類およびニンジンでの大腸菌の汚染率とその菌数レベルに関してもデータが不十分である。このため、GAP、GHP、GMPおよび食品安全管理システム(HACCPなど)の遵守状況を検証するために鱗茎菜類およびニンジンの一次生産段階および最小限の処理工程に大腸菌に関する規格基準を適用することについては、その有効性の評価が不可能である。


(関連記事)

ニンジンおよび鱗茎菜類:サルモネラなどの病原体の汚染のリスク
Carrots, bulb and stem vegetables: risks from Salmonella and other bacteria
19 December 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/141219.htm

 ニンジンや鱗茎菜類(タマネギ、ニンニクなど)のサルモネラ、エルシニア、赤痢菌およびノロウイルスによる汚染の原因としては、環境要因(動物飼育農場に近接した立地など)、栽培区域への家畜・野生動物の侵入、汚染された灌漑用水や器具の使用などが挙げられる。以上は、フードチェーンの各段階でニンジンおよび鱗茎菜類の汚染に寄与するリスク因子について欧州食品安全機関(EFSA)が発表した科学的意見の一部である。EFSAの専門家は、汚染を低減させるために生産者は適正農業規範、適正衛生規範、適正製造規範を遵守することを推奨している。関連情報の不足のため、鱗茎菜類およびニンジンの一次生産または加工の段階に微生物規格基準を設定することの妥当性を評価することはできなかった。


(食品安全情報(微生物) No.1 / 2015 (2015.01.07)、No.22 / 2014 (2014.10.29)、No.14 / 2014 (2014.07.09) EFSA 記事参照)



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部