(食品安全情報2014年22号(2014/10/29)収載)
トマトは、そのまま喫食可能な(RTE)製品とするために最小限の処理が行われる場合がある。この処理工程には選別、洗浄、異物除去、茎の除去、カット、包装、貯蔵などが含まれる。欧州連合(EU)の疫学データによれば、2007〜2012年にトマトの喫食に関連して1件のサルモネラ症アウトブレイクおよび1件のノロウイルスアウトブレイクが発生した。今回、フードチェーンの各段階でのトマトのサルモネラおよびノロウイルス汚染について、それらのリスク因子が検討された。また、トマトにおけるサルモネラおよびノロウイルスの推定汚染率、汚染低減対策の選択肢、および微生物学的基準(microbiological criteria)の設定の妥当性が評価された。
各農場の環境は、トマトのサルモネラおよびノロウイルスによる汚染および生残に影響をおよぼす可能性がある複数のリスク因子の固有の組み合わせを表していると結論付けられた。トマト生産者は、適正農業規範(GAP)、適正衛生規範(GHP)、適正製造規範(GMP)などの食品安全管理システムの適切な実施を第一の目的とすべきである。現時点では、一次生産段階のトマトに糞便系大腸菌(E. coli)汚染についての衛生基準(Hygiene Criterion)を適用するという提案を行うには十分なデータが得られておらず、また、RTEカット済みトマトなどを対象としたEU共通のE. coli工程衛生基準(E. coli Process Hygiene Criterion)の適切性を評価することも不可能である。商品として流通している保存可能期間(shelf-life)内のRTEカット済みトマトおよび未殺菌トマトジュースについては、25g検体からサルモネラ非検出という食品安全基準(Food Safety Criterion)が存在する。サルモネラ汚染に関する食品安全基準の丸ごとのトマトへの適用は、生産者と加工業者に製品のサルモネラ汚染は許容されないことを伝えるツールとなり得る。トマトのサルモネラ検査は、GAP、GHP、GMPまたは危害分析重要管理点方式(HACCP)プログラムへの違反が他の要因により示唆された場合に限定して実施してもよい。トマトを対象としたノロウイルス食品安全基準の設定については、現時点では、リスク評価にもとづく設定根拠の提出が不可能である。
(食品安全情報(微生物)本号、No.14 / 2014 (2014.07.09)、No.2 / 2013 (2013.01.23) EFSA記事参照)