(食品安全情報2014年14号(2014/07/09)収載)
ベリー類は腐りやすい食品であるが、生または最小限の加工処理で喫食でき、また多くの食品に冷凍材料として使用されることがある。欧州連合(EU)域内では、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーおよびブルーベリーが最も一般的に喫食されるベリー類である。フードチェーンの各段階でのベリー類のサルモネラおよびノロウイルス汚染について、そのリスク因子の検討を行った。ベリー類でのこれらの病原体の汚染率に関する既知の推定値、汚染低減のための選択肢、および微生物学的基準(microbiological criteria)の設定の妥当性のそれぞれについて評価を行った。
各ベリー農場の環境は、ベリー類生産での病原体汚染および生残に影響を及ぼし得る複数のリスク因子の独自の組合せを表していると結論付けられた。ベリー類生産者は、適正農業規範(GAP)、適正衛生規範(GHP)、適正製造規範(GMP)などの食品安全管理システムの適切な実施を第一の目的とすべきである。現時点では、生鮮・冷凍ベリー類におけるサルモネラ汚染について、微生物学的基準の設定を正当化する十分なエビデンスは存在しない。
冷凍のラズベリーおよびイチゴに由来するノロウイルスに関連したアウトブレイクが新たな公衆衛生リスクとなっている。しかしながら、これらのアウトブレイクにおいて、汚染が最小限の加工の段階または一次生産の段階のどちらで発生するかは不明である。ラズベリーおよびイチゴの一次生産段階にEUレベルでノロウイルス衛生基準(Norovirus Hygiene Criterion)を設定することについては、現時点ではその適合性の評価が不可能である。ベリー類のノロウイルス汚染を対象に微生物学的基準を設定することは、HACCPベースの方法や手順を含む食品安全管理システムの妥当性確認および検証に役立ち、食品事業者やその他の関係者に対し、何が許容可能または不可能かを伝えることに利用できる。しかしながら、現時点では、ベリー類のノロウイルス汚染について工程衛生基準(Process Hygiene Criteria)や食品安全基準(Food Safety Criteria)を設定するには、それらに必要なリスクベースのデータの蓄積が十分ではない。冷凍ラズベリー(イチゴ)のノロウイルス汚染に対する管理対策の改善を支援するため、適切なデータの収集とそれに続くリスクベースでの微生物学的基準の作成が優先事項として検討されるべきである。
(食品安全情報(微生物)No.2 / 2013 (2013.01.23) EFSA記事参照)