(食品安全情報2014年2号(2014/01/22)収載)
ドイツでは毎年約10万人の食品由来疾患患者が報告されており、特にカンピロバクター、サルモネラおよびノロウイルスの感染患者が多い。ほとんどの患者は、腹痛、下痢、嘔吐などの症状を呈した後、自然に回復する。しかし、免疫機能が低下している、または未発達の人の場合は重症化することがある。以上を踏まえ、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、小冊子「消費者向け助言:家庭における食品由来感染症の予防(Consumer Tips: Protection against Food-borne Infections in Private Households)」の更新改訂版を発行した。この小冊子には食品および台所の衛生管理に関する推奨事項がまとめられている。
感染性胃腸疾患は多くの場合自然に回復するが、特に発症しやすい人では重症化することがある。たとえば小児、妊婦、高齢者、免疫機能が低下した人などである。食品由来感染症を防ぐには、消費者は食品の保存および調理の際に食品や台所の衛生管理を遵守すべきである。
目標は家庭の台所での食品の病原体汚染を回避することである。汚染を完全に回避することは必ずしも可能ではないことから、病原微生物の増殖または生残を防ぐための対策もとるべきである。調理や再加熱の際、食品を70℃以上で2分間以上加熱すればほとんどの病原体は死滅する。この場合、食品の内部もこの温度に達する必要がある。また、食品を適切に冷蔵すれば、食品中の微生物は増殖が抑制される。
ヒト、ペットなどにより食品が病原体に汚染されることがある。生の食品も重要な感染経路の1つである。病原微生物は生の食品から直接的に、または手指、台所用品、作業台表面などを介して他の食品に伝播することがある。これは「食品の交差汚染」と呼ばれている。生または加熱不十分の食品の喫食は特に高い感染リスクを生じる。
この小冊子には、食品および台所の衛生管理の以下の項目に関して消費者向けのヒントがまとめられている。