(食品安全情報2012年18号(2012/09/05)収載)
オランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)に報告される食品由来感染症の総件数および患者数は、2008年以降着実に減少している。地域の保健所による同報告件数は過去8年間ほぼ一定である。2010年までと同じく、2011年もサルモネラ、カンピロバクターおよびノロウイルスが食品由来アウトブレイクの原因として最も重要な病原体であった。しかし、サルモネラの方がアウトブレイク1件あたりの患者数が多いため、カンピロバクターによるアウトブレイクに比べ公衆衛生に与える影響がより大きい。サルモネラ感染症は患者の転帰が重大である割合も高く、入院患者の約半数がサルモネラ感染症によるものであることがわかった。以上が、NVWA および感染症管理センター(CIb)の2011年の登録データをオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が分析して得た主な結論である。
報告件数および患者数
2011年にNVWA に報告された食品由来感染症の件数は363件で、患者数は877人であった(2010年はそれぞれ432件、1,179人)。CIbに報告された食品由来アウトブレイクの件数は42件で、患者数は368人であり、報告件数は2004〜2010年の件数とほぼ一致していた。患者入院率は、2010年にピーク(21%)を記録したが、2011年は8%で2009年までと同レベルであった。2011年に食品由来感染症および食中毒として両機関に登録されたアウトブレイクは全部で213件で患者964人を含み、一方、散発の患者数は181人であった。しかし、感染患者のすべてが医療機関を受診したりNVWAへ報告を行うわけではないので、これらの数値は過小評価されたものである。オランダでは、汚染された食品が原因で年間68万人の患者が発生していると推定される。