(食品安全情報2012年7号(2012/04/04)収載)
アトランタで開催された新興感染症に関する国際会議(ICEID: International Conference on Emerging Infectious Diseases)で米国疾病予防管理センター(US CDC)が発表した調査結果によると、米国での胃腸炎による年間死亡者数は1999年から2007年の間に2倍以上に増加した。
CDCの研究者は、国立保健統計センター(National Center for Health Statistics)のデータを用いて、1999〜2007年の米国の全年齢グループでの胃腸炎による死亡者数を特定した。
8年以上にわたる調査対象期間中に、あらゆる原因による胃腸炎関連の年間死亡者数は7,000人近くから17,000人以上に増えた。66歳以上の成人が死亡者の83%を占め、胃腸炎関連の死亡の原因となった感染病原体としてはクロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)およびノロウイルスが主要なものであった。
医療施設での感染が多い細菌であるC. difficileによる年間死亡者数は約2,700人から14,500人へとほぼ5倍になった。C. difficileは下痢を起こし、胃腸炎による死亡原因の3分の2を占めている。近年のC. difficile感染による患者数および死亡者数の増加は、大部分、強病原性で抗菌剤耐性のC. difficile株の出現とその蔓延のためである。
ノロウイルス感染による年間死亡者数は約800人であるが、新しい株が流行した年には死亡者数が約50%増加した。ノロウイルスはヒトとヒトとの接触、汚染食品、汚染水および汚染器具表面を介して蔓延する。ヒトは年間を通じて感染するが、患者数は12〜2月に最も多い。ノロウイルスの年間患者数は2,000万人以上で、米国の胃腸炎アウトブレイクの主要な原因である。