米国疾病予防管理センター(US CDC)からのノロウイルス関連情報
http://www.cdc.gov/


ノロウイルス遺伝子型プロファイルを利用した食品由来疾患アウトブレイクの識別
Use of Norovirus Genotype Profiles to Differentiate Origins of Foodborne Outbreaks
Emerging Infectious Diseases, Volume 16, Number 4, April 2010
http://www.cdc.gov/eid/content/16/4/617.htm
http://www.cdc.gov/eid/content/16/4/pdfs/617.pdf(PDF)

(食品安全情報2010年11号(2010/05/19)収載)

 アウトブレイクと感染源との関連は二次感染により不明瞭になることがあるため、ノロウイルスの感染において食品由来感染が占める割合の推定は困難である。ここでは、ノロウイルスの遺伝子型頻度分布(遺伝子型プロファイル)の情報によって食品由来疾患アウトブレイクの感染源の検出力を上げることができるかを検討した。感染予防対策は感染源により大きく異なるため、アウトブレイクの伝播様式が食品由来であるか、またはヒト?ヒト間や食品取扱者由来であるかの識別は、公衆衛生上重要な問題である。このため、二枚貝のモニタリングの過程で収集されたノロウイルス株(n=295)とアウトブレイク調査により検出されたノロウイルス株 (n=2,858【編者注:n=2,563の誤りと思われる】)(1999〜2004年)の遺伝子型情報をデータベースを用いて比較した(表)。その結果、(1)ヒトの排泄物と、(2)一次生産過程で汚染された食品および二枚貝との間でノロウイルスの遺伝子型プロファイルが異なることが示された。すなわち遺伝子型I.2およびI.4は、ヒト−ヒト感染アウトブレイクとしてよりも食品由来疾患アウトブレイクとしてより多く検出されていた。他方、遺伝子型I.6、II.1W、II.2、II.4、II.b、II.c、およびII.dは、ヒト−ヒト感染アウトブレイクとしてより多く検出されていた。総合すると、ノロウイルス全アウトブレイクのうち約21%が食品由来であると考えられた。また、食品取扱者関連と報告されたアウトブレイクのうち25%が食品の一次生産過程での汚染に起因していた可能性が示された。

表:ヒト、二枚貝、食品検体から検出されたノロウイルス株数(1999〜2004年)

・ FB-food、foodborne-food:アウトブレイクが食品由来であると報告され、アウトブレイク株が食品中に検出された場合。
・ FB-feces、foodborne-feces:アウトブレイクが食品由来であると報告され、アウトブレイク株がヒト排泄物中にのみ検出された場合。
・ FHB、food handler-borne:アウトブレイクが感染した食品取扱者による食品の汚染に由来すると報告され、アウトブレイク株がヒト排泄物中に検出された場合。
・ PB、person-borne:アウトブレイクがヒト−ヒト間感染に由来すると報告され、アウトブレイク株がヒト排泄物中に検出された場合。
・ UN、unknown:感染様式が報告されないか、もしくは不明として報告され、アウトブレイク株がヒト排泄物中に検出された場合。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部