(食品安全情報2009年15号(2009/07/15)収載)
2009年6月29日から7月4日まで、ローマでコーデックス委員会(CAC:Codex Alimentarius Commission)の第32回総会が開催され、30以上の国際的な規格、実施規範およびガイドラインが新しく採択された。これらのうち、微生物関連の主な内容を紹介する。
フォローアップ調製粉乳
6カ月齢以上の乳児に、または特別な医療目的のために小児に使用するフォローアップ調製粉乳について、サルモネラやその他の細菌に対する規格を設定した。特に問題となっている細菌はEnterobactor sakazakiiで、コーデックス委員会は2008年に乳児(0〜6カ月齢)用調製粉乳のE. sakazakiiに対する規格を設定した。委員会は、フォローアップ調製粉乳によってE. sakazakiiに感染するリスクの高い国(すなわち免疫不全の乳児の多い国)では、フォローアップ調製粉乳のE. sakazakii規格として乳児用調製粉乳と同様の規格を適用できるとした。
フォローアップ調製粉乳は特別にそれが必要な小児にのみ使用すべきであるが、残念ながら6カ月未満の乳児に使用されることが多い。今回の規格の設定に際し、教育や研修によってこのような誤用の問題に対処する必要があることが強調された。
そのままで喫食が可能な食品(ready-to-eat foods)中のリステリア菌(Listeria monocytogenes)
委員会は、そのままで喫食が可能な食品(ready-to-eat foods)から微生物学的検査および環境モニタリングにより検出されるL. monocytogenesの許容範囲を設定した。リステリア菌が増殖できないready-to-eat foodsには検出量の上限を設定し、リステリア菌の増殖が可能なready-to-eat foodsでは、致死的な症状を引き起こす可能性があるL. monocytogenesの存在は一切認められないことになった。許容範囲の設定により、製造業者はready-to-eat foodsのL. monocytogenes汚染の制御および防止が行いやすくなるとしている。
採択された今後の作業計画
・各国政府が包括的な国内食品管理システムを構築し、運用する際に参考となる原則とガイドラインの策定。このようなシステムは、消費者の健康を守り、食品流通における公正を確保するために必要なものである。
・食品へのウイルス、特に生鮮農産物、貝類およびready-to-eat foodsへのノロウイルスまたはA型肝炎ウイルスの汚染の予防対策。