欧州食品安全機関(EFSA)からのノロウイルス関連情報
http://www.efsa.europa.eu/


2007年の欧州連合(EU)内における食品由来アウトブレイクについての概要報告書
The Community Summary Report on Food-Borne Outbreaks in The European Union in 2007
Published: 6 May 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902515341.htm
http://www.efsa.europa.eu/cs/BlobServer/Report/zoon_report_ej271_foodborneoutbreaks_en.pdf?ssbinary=true(Full Report)

(食品安全情報2009年11号(2009/05/20)収載)

 食品由来アウトブレイクとは、汚染された同じ食品を喫食することで発生するヒトの感染症または中毒症である。各EU加盟国により調査された食品由来アウトブレイクの情報は、Directive 2003/99/ECにもとづいて収集されている。2007年は、あわせて加盟22カ国および欧州の非加盟2カ国から食品由来アウトブレイクに関するデータが提出された。アウトブレイクの新しい報告方式が初めて適用され、アウトブレイクは食品由来の可能性があるもの(possible)と食品由来であることが確認されたもの(verified)とに分類された。詳細データは、患者と原因食品との関連が確実なエビデンスで裏付けられるverifiedアウトブレイクについてのみ報告された。

 2007年に加盟国から報告された食品由来アウトブレイクは計5,609件で、2006年の報告数から2.2%減少した。報告された全アウトブレイクのうち36.1%がverifiedに分類された。verifiedアウトブレイクの患者数は39,727人で、そのうち3,291人が入院し19人が死亡した。また、非加盟2カ国から報告された食品由来アウトブレイクは93件であった。そのうち38.7% がverifiedアウトブレイクであり、その患者数は1,475人で、55人が入院し5人が死亡した。フランスとスペインからの報告がEU のverifiedアウトブレイクの大部分(73.0%)を占めた。報告されたverifiedアウトブレイクの件数および割合は加盟国間で大きく異なっており、各国のアウトブレイク調査および報告システムの感度および効率の差異を反映している可能性があった。

 加盟国から報告された食品由来アウトブレイクの74.4%において病因物質が明らかになっていた。verifiedアウトブレイクのおよそ3分の2は2世帯以上の構成員が発症した一般アウトブレイクで、残りの3分の1は一家庭内でのアウトブレイクであった。原因食品(媒介食品)に関する詳細情報は、verifiedアウトブレイクの68.8%において報告された。単品の媒介食品で最もよく見られたのは卵および卵製品で、verifiedアウトブレイクの14.6%の原因となっていた。個人の家庭以外では、レストランおよびカフェがverifiedアウトブレイクにおける暴露場所として上位を占めた。

 サルモネラは、例年と同様、EU内の食品由来アウトブレイクの病因として最も高頻度で報告された。加盟22カ国から2,201件のサルモネラアウトブレイクが報告され、その26.8%がverifiedであった。verifiedサルモネラアウトブレイク590件の患者は8,922人で、そのうち1,773人が入院し、10人が死亡した。血清型ではS. Enteritidisが、原因食品では卵または卵製品が、これらのアウトブレイクに最も高頻度で関与していた。

 食品由来アウトブレイクの病因物質として2番目に多く報告されたのは、カリシウイルス属(ノロウイルスを含む)などの食品由来ウイルスで、加盟18ヶ国から計668件のアウトブレイクが報告され、そのうち16.6%がverifiedであった。このウイルス関連verifiedアウトブレイク111件の患者数は3,784人で、131人が入院した。これらのアウトブレイクの大半は一般アウトブレイクで、感染の原因となった頻度が最も高かった媒介食品は、甲殻類、貝類、軟体動物およびビュッフェ料理であった。

 EUで発生した食品由来アウトブレイクにおいて、カンピロバクターも引き続き高頻度で見られる病因となっているものの、加盟17カ国から報告されたカンピロバクターアウトブレイク461件のうち食品由来と確認された(verified)のは6.5%だけであった。verifiedカンピロバクターアウトブレイク29件(水由来の大規模アウトブレイク1件は除外)の患者数は244人で、19人が入院した。このカンピロバクターアウトブレイクに最も頻繁に関連した原因食品として、ブロイラー肉およびその他の非特定の食肉が報告された。

 病原性大腸菌が原因で発生したアウトブレイクは加盟14カ国から65件報告され、その44.6%がverifiedであった。verified大腸菌アウトブレイク29件の患者は541人で、24人が入院した。加盟18カ国からアウトブレイク458件の原因として、Bacillus属菌、Clostridium属菌またはStaphylococcus属菌が産生する細菌性毒素が報告され、その93.2%がverifiedであった。細菌性毒素関連のverifiedアウトブレイク427件の患者数は6,277人で、345人が入院し4人が死亡した。エルシニア、リステリア、赤痢菌、エンテロバクター、シトロバクターなど、その他の細菌性因子によるアウトブレイクの報告数はごくわずかであった。寄生虫によるアウトブレイクがかなりの数報告されており、そのほとんどが未検査の豚肉およびイノシシ肉の喫食に関連したトリヒナアウトブレイクであった。

 ヒスタミン(69件)およびキノコ毒(43件)など、その他の病因物質についての報告は特定の加盟数カ国で際立っていた。これらのアウトブレイクでは家庭の台所が発生に寄与しており、verifiedアウトブレイクの半数が家庭で発生していた。加盟8カ国から報告された水由来アウトブレイク17件では、10,912人が発症し232人が入院した。フィンランドで発生した2件の水由来大規模アウトブレイクでは、それぞれ8,000人および2,000人が発症した。8,000人の患者が報告された最大規模のアウトブレイクでは200人が入院し、主な病因物質としてカンピロバクターとジアルジア原虫が報告された。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部