(食品安全情報2008年8号(2008/04/09)収載)
過去35年間に葉物野菜による食品由来疾患のアウトブレイクが増加したが、3月17日にアトランタで開催された新興感染症に関する国際会議で、増加の原因が必ずしも米国人のサラダの喫食が増えたことになるとはいえないとする研究が発表された。
2006年にほうれん草やレタスによるE. coli感染のアウトブレイクが発生したことから、米国疾病予防管理センター(US CDC: Center for Disease Control and Prevention)の食品由来疾患アウトブレイクのサーベイランスシステムのデータを用いて、1973年〜2006年に報告された食品由来疾患アウトブレイク10,000件以上を分析した。
対象期間全体で、食品由来疾患アウトブレイクの約5%が葉物野菜関連であり、このうち原因菌の割合はノロウイルスが60%、サルモネラが10%、E. coliが9%であった。
米国における葉物野菜の1人当たりの購入量(availability)を喫食量とみなし、葉物野菜の喫食による食品由来疾患のアウトブレイクの比率と、1人当たりの葉物野菜の喫食量を比較した。1986年〜1995年、米国の葉物野菜の喫食は前の10年間と比較して17%上昇し、葉物野菜による食品由来疾患アウトブレイクは60%上昇した。また、1996年〜2005年については、喫食が9%、アウトブレイクが39%上昇した。
上昇の原因となった他の因子を明らかにするには、さらに調査が必要である。このようなアウトブレイクでは調理時に問題があることが多い。しかし、広範囲で発生しているアウトブレイクもあることから農場や加工施設などの早い段階で汚染が起こっていると考えられる。
葉物野菜によるアウトブレイクは、喫食の増加のみでは説明できないほど増えている。汚染は農場から食卓までのいずれの段階でも起こりうるため、葉物野菜によるアウトブレイクの制圧対策は、収穫から調理までの全段階を対象とすべきであるとしている。