(食品安全情報2007年12号(2007/06/06)収載)
本報告は海外で感染したと考えられる腸管感染症アウトブレイクに関するサーベイランスシステムからの報告である。アウトブレイクの定義は、2人以上に感染が確認された場合、または少なくとも1人の患者が他の患者の感染源となった場合である。病原体、陽性者の数、感染が疑われる患者の数、国、町/リゾート地域、ホテル又はその他の宿泊施設、ケータリング、休暇の開始日と終了日、発症日、旅行業者、フライト等の関連情報が、HPSから国内の国民医療保険サービス公衆衛生チームへ送付され、これらの情報は他の関連患者の発見に役立てられる。またこれらの情報は患者が感染したと考えられる国のサーベイランスセンターにも同時に送付され、アウトブレイクの調査及び対策の実施に活用される。さらに同じ情報はEnterNetにも送付され、加盟国内で同じリゾートからの帰国者等から類似のアウトブレイクが検出された場合、その関連性を調査するのに用いられる。
2006年、海外から帰国したスコットランド人の腸管感染症のアウトブレイクは68件報告された。2005年の81件より減少したが、2004年の53件よりは増加していた。行き先国別の件数では合計68件中、スペイン及びバレアレス諸島が最も多く(22件)、次いでエジプト(14件)、トルコ(9件)、ドミニカ共和国(4件)の順であった。
原因別では、Salmonellaが46%(31件)、Shigellaが19%、Cryptosporidiumが18%、Campylobacterが9%、E. coli が7%及びノロウイルスが2%であった。Salmonellaによる31件を血清型別にみると、S. Enteritidisが11件であり、このうちのファージタイプはPT14bが4件で最も多かった。次がS. Typhimuriumの4件であった。Shigellaは13件で、このうちS. sonneiが8件、S. flexneriが2件、S. boydiiが1件であった。
2007年は現在まででのところ5件で、SalmonellaとShigellaが各2件、Cryptosporidiumが1件である。訪問先別ではエジプトが2件、南ア共和国、トルコ及びインドが各1件である。