(食品安全情報2007年22号(2007/10/24)収載)
2006年のフィンランド食中毒登録情報(Finnish national food poisoning register)によると、合計で46件の食品由来または水由来のアウトブレイクが発生し、患者数は約1,800人を記録した。アウトブレイク数は前年比で16%減少し、全体の91%が食品による伝播、残りの9%が家庭用水由来であった。食中毒の原因として最も多かったのはノロウイルスであった。
食品由来アウトブレイクの原因食品として最も多く報告されたのは、生鮮野菜およびそれらを原料とする製品で、食中毒アウトブレイクの原因として初めて野菜が肉・肉製品を上回った。2006年には野菜による大規模なアウトブレイクが2件発生しており、ノロウイルスに汚染された野菜を使用した同一食品加工業者のサラダによって、400人を超える患者が発生した。冬季に保存されたフィンランドキャロットにより2件のYersinia Pseudotuberculosisアウトブレイクが発生した。そのうち規模が大きい事例においては、8月末に学校給食でフィンランドキャロットを喫食した学生と教師400人が感染した。Salmonellaによるアウトブレイクも1件発生し、16人の患者が出た。Clostridium botulinumはまれな病原菌であるが、汚染された温燻製魚を喫食した2人が感染した。
5件(11%)の食品由来アウトブレイクでは、食品調理に携わった調理場の食品取扱い者が感染しており、不十分な手指の衛生管理が原因となった。これは、特にノロウイルスのアウトブレイクでは重要な原因であり、食品取扱い者または患者を介した伝播がアウトブレイクの半数近くを占めていた。また、調理場の不適切な衛生管理も約半数で報告されていた。報告された不備または過失のうち30%が温度に関連するもので、11件のアウトブレイクにおいて、重大な影響を与えていた。5件(11%)のアウトブレイクの発生には、汚染された原材料の使用が関連していた。
これらのデータはフィンランド食品安全局(Evira)が最近発行した刊行物No. 21/2007, Food poisonings in Finland in 2006から収集された。刊行物はEviraが国立衛生公衆研究所と共同で作成したものである。