(食品安全情報2007年26号(2007/12/19)収載)
英国、サフォーク州にある会社の従業員の間で下痢および嘔吐のアウトブレイクが発生し、直ちにアウトブレイク調査が開始された。アウトブレイクの原因が汚染食品であるかを調査する症例対照研究が実施された。
症例定義は、6月6日〜8日の間に社員食堂で喫食し、下痢、嘔吐、腹痛の症状のうち最低1つが認められる者とした。二次患者は、症状の見られる患者の家族とした。
症例定義に36人が合致し、そのうち一次患者は34人、二次患者が2人であった。平均年齢は36歳(年齢範囲は18〜60歳)であった。31人の一次患者(女性27人、男性4人)のおよび同期間に社員食堂で喫食し、かつ症状が現れなかった社員36人(女性26人、男性10人)について喫食歴を調査し、比較を行った。また患者9人(一次患者8人、二次患者1人)および食堂で働く食品取扱い従業員4人全員から検便検体を採集した。食品取扱い従業員からは、アウトブレイク発生前後の胃腸症状の報告はなかった。なお、6月7日および8日の食品検体は入手できなかったため、検査は行わなかった。
喫食歴の調査から、6月7日および6月8日のミックスサラダの喫食と発症のオッズ比は、それぞれ74(95%CI [8〜1685])および27(95% CI[6〜138])であった。なお、8日に提供されたこのサラダは、7日に製造され、一晩冷蔵保存されたサラダであった。両日の発病率(Attack Rate)は、それぞれ21/22(95%)および24/28(86%)であり、20人は2日間ともサラダを喫食していた。統計解析では、その他に重要な食品は認められなかった。
患者3人(一次患者2人、二次患者1人)および食品取扱い従業員1人の検体からはノロウイルスが検出された。この食品取扱者は6月7日および8日に提供されたサラダを調理していた。これら4検体のノロウイルス株の特性を調査した結果、3検体はノロウイルス遺伝子群II(genogroup II)遺伝子型4(genotype4)変異株2(variant 2)(GII-4 v2)であった。残りの1検体はGII-4 v3で、二次患者から検出されたが、原因となった一次患者の検体は採取されなかった。
今回異なる変異株が検出されたことから、サラダが食堂に届く前に汚水への暴露により糞便汚染を受けていた可能性が高く、食品取扱者もレストランの客と同じ時期にサラダの喫食により感染したと考えられた(アウトブレイクの原因が感染した食品取扱者であれば、検出されるサブタイプは同一であると考えられる)。