(食品安全情報2007年15号(2007/07/18)収載)
2007年4月末にギリシャの学校で、2日間の修学旅行後に急性胃腸炎のアウトブレイクが発生した。85人の学童が教師4人に引率され、ギリシャ西部地域からバスでギリシャ中部へと旅行した。4月29日に出発し、復路の30日に学童の多数に急性胃腸炎の症状が出始めた。アウトブレイクは5月1日まで続き、学童85人中63人(発病率:74%)が発症し、うち18人が入院した。教師に発症者はいなかった。
4月30日に入院患者中5名から検便検体が採取され(残り58名は連絡が取れなかったか拒否された)、細菌(Salmonella spp.、Enterococci、S. aureus、E.coli)および寄生虫(Cryptosporidium、Giardia)の検査を行った結果、全て陰性であった。
5月1日に同じ患者から追加で採集された検体について、nested RT-PCR法を用いてノロウイルスの有無を調査した。ノロウイルス遺伝子型GIおよびGIIを識別できる2セットのプライマーを使用して検査した結果、全5検体がノロウイルスGII陽性を示した。さらにPCR増幅し配列決定を行い確認した。
患者の臨床所見および糞便検査の結果から、旅行中の29日の夕食由来のノロウイルス感染の可能性が示唆された。ノロウイルスGIIが初めてギリシャで検出された事例である。