(食品安全情報2007年20号(2007/09/26)収載)
イタリアのパレルモの小児病院に2004年1〜12月に急性胃腸炎(24時間以内に3回以上の軟便または1回以上の嘔吐)で入院した児童(3歳未満)360人から390の糞便検体を採取し、サルモネラ、赤痢、カンピロバクター、エルシニアについて検査した。このうち細菌検査が陰性であった192人由来の199検体について、ノロウイルス、グループAのロタウイルス、アデノウイルスおよびアストロウイルスについてPCR法で検査した。ノロウイルスは93人(48.4%)から検出された。主な遺伝子型はGGIIb/Hilversum(2000年にフランスで発生し、ヨーロッパ中に蔓延したウイルス)およびGGII.4 Hunter(2002-4年にオーストラリアで特定され、オランダの胃腸炎アウトブレイクの原因ウイルス)であった。ウイルス性胃腸炎の児童のうち、19.6%はノロウイルスとロタウイルスの混合感染であった。症状の重篤度はロタウイルスに比べ、ノロウイルスが軽かったが、混合感染により、重篤度が増した。下痢症患者のうち細菌検査で原因微生物が特定できない場合、分子生物学的検査法を導入することで、病原体を特定するとともに、真のノロウイルスの感染率およびこのウイルスの疫学的特徴の変化を確認することができるとしている。