デンマーク感染症サーベイランス(SII: National Surveillance of Communicable Disease, Statens Serum Istitutt, Denmark)からのノロウイルス関連情報
http://www.ssi.dk


  • 食品取扱い者がノロウイルスの感染源
    Food handlers as source of norovirus infection
    (食品安全情報2006年4号(2006/02/15)収載)

    EPI−News No.5, 2006年2月1日
    http://www.ssi.dk/sw379.asp

     デンマークでは、他国と同様、診断方法の向上もあってノロウイルス感染患者が増加傾向にある。ノロウイルスは感染性が強く、吐物や糞便からウイルスに汚染された媒体または手指との接触、汚染された食品、噴霧化された吐物を含む空気、飲料水及び浴用水などを介して伝播する。アウトブレイクは病院、養護施設、兵舎やクルー船などの閉鎖された環境、食堂やレストランなど食品を共有する場での発生が多い。食品由来のノロウイルス感染アウトブレイクは、カキやラズベリーなど汚染された食品によることもあるが、厨房での取り扱い時に汚染される場合の方が多い。
     2003〜2005年、デンマークの3郡(人口120万人)ではアウトブレイク12件が報告され、すべて食品の取扱者による汚染が原因と考えられた。患者数は2003年が74人、2004年が95人、2005年が357人であり、さらに数が把握されていない二次感染患者もいる。
     12件のうち6件で検便検体のノロウイルス検査が行われた。その他のアウトブレイクでは潜伏時間の平均が24〜48時間(範囲15〜77時間)、症状持続時間の平均が12〜60時間、嘔吐のあった患者は50%以上、病原性腸内細菌は陰性であったといういわうるKaplan criteriaに基づき診断が行われた。ヒトからヒトへ感染する二次感染者が多いという特徴があり、3件のアウトブレイクで飲食をした客、食品取り扱い者及びその子供に同じ型のノロウイルスが見つかった。食品取り扱い者の子供が一次患者であると考えられたものが5件、食品取り扱い者が勤務時に症状を呈していなかったものが3件、食品取り扱い者が回復後48時間経たないうちに仕事に復帰していたものが5件あった。
     
    食品取り扱い者への推奨事項
    ・胃腸疾患症状を呈したら勤務しない。
    ・回復後も48時間以内は勤務しない。
    ・胃腸疾患患者と接触した後は、石けんを用いて念入りに手を洗う。発症している幼児のおむつを替えた後は特に注意する。
     
    医師への推奨事項
    ・胃腸疾患症状の患者を診る際にはノロウイルス感染の可能性を考える。
    ・ウイルス性胃腸疾患アウトブレイクの疑いがある場合には、検便検体のノロウイルス検査を行う。
    ・食品会社の職員には、ガイドラインを守るよう助言する。
    ・ 食品由来感染が疑われる場合には、保健所に届け出る。
    http://www.ssi.dk/sw37106.asp


    国立医薬品食品衛生研究所安全情報部