英国保健保護局(HPA U.K.:Health Protection Agency, U. K.)からのノロウイルス関連情報
http://www.hpa.org.uk


  • 新しい変異型ノロウイルス
    New emerging norovirus variant
    CDR Weekly, Volume 16 Number 25, 22 June 2006
    http://www.hpa.org.uk/cdr/default.htm
    (食品安全情報2006年14号(2006/07/05)収載)

     HPAのウイルスリファレンス部(Virus Reference Department: VRD)が、ノロウイルスのアウトブレイクにおいて遺伝子型II.4 [Bristol/1993/UK (Grimsby)]の新しい変異型による比率が増加していることを報告した。この株は同じ遺伝子型のFarmington HillsやHunter 284などの株と比較すると、ウイルスカプシドの配列にアミノ酸変異が保存されており、この新しい変異型の定義となった。
     この新しい変異型は2005年12月に初めて検出された。2006年の英国のGII.4によるアウトブレイクのうち変異型が占める割合は4月は27/93(29%)であったが、5月には36/63(57%)に増加した。また、この新しい変異型はオランダ、フランスおよびデンマークからも報告された。最近いくつか報告されているヨーロッパでのクルーズ船におけるアウトブレイクのうち2件がこの新しい変異型によるものであった。
     HPAの EEDDおよびVRDが、新しい変異型によるアウトブレイクと他の変異型によるアウトブレイクとを比較するため、疫学情報と微生物情報を見直し、調査を行っている。ノロウイルス感染のアウトブレイクは通常は夏までに減少するため、この変異型の増加は季節的にみて異例である。異例の季節パターンを示す過去の事例では新しい株の出現がみられ、遺伝子型II.4の新しい変異型が今後優勢となる可能性を解明するにはさらに詳しい調査が必要である。
     感染経路は人−人感染が最も多く、1992年以降ではこの経路が86%、食品感染が4%、食品感染後の人−人感染が3%である。人−人感染は、2003年が88%、2004年が87%である。
     2004年9月〜11月中旬、ノロウイルスによるIIDアウトブレイクは33件で、2003年同時期とほぼ同じである。2004年の全データは暫定のものである。
    http://www.hpa.org.uk/cdr/archives/archive06/News/news2506.htm#norovirus



    国立医薬品食品衛生研究所安全情報部