Eurosurveillanceからのノロウイルス関連情報
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  • 2006年10、11月にハンガリーでノロウイルス感染が増加
    Increase in norovirus in Hungary in October - November 2006
    Eurosurveillance, Volume 11 / Issue 12, 14 December 2006
    (食品安全情報2006年26号(2006/12/20)収載)

     ハンガリーでは2006年1月から11月までにノロウイルス感染アウトブレイク223件が報告された。このうち128件(57%)では、検査機関でノロウイルスが確認された(ELISAにより72件、PCRにより56件)。臨床データ及び疫学データによると、残り95件も原因はノロウイルスと考えられる。
     2006年夏以来、同国で発生したアウトブレイクの大多数はGII.4 2006bの新しい変異型によるものであり、これは2006年初期(4月)に同国と他の欧州数カ国で確認された。新しい変異型の出現後には患者の増加が予想されていた。
     2006年第2四半期、同国北東部で患者の増加が特に顕著であった。2006年6月にBorsod-Abauj-Zemplen郡で飲料水によるアウトブレイクが発生して3,600人が感染した。アウトブレイクには様々原因があるが、ノロウイルスが優勢である。その後、当地域でノロウイルス感染アウトブレイクが増加した。2006年第3四半期、近隣のHeyes郡や中央部にもウイルスが拡散し、2006年10月と11月には北部低地やTrans-danubian地域にも広がった。
     2006年、ノロウイルス感染アウトブレイクは近年と同じような環境での発生がこれまで報告されている。42%(54件)が病院、31%(39件)が高齢者施設、13%(16件)が保育所や学校など小児の施設である。11月の事例を含むほとんどのアウトブレイクはヒト−ヒト感染によって発生し、他の伝播型式は無視できるほど少なかった。
     これまでの年と比較すると、2006年1月から11月までに同国で報告されたノロウイルス感染アウトブレイク数は、2005年同時期の約2.5倍であり、2002年から2004年までの中央値より大きかった。2005年と2006年の第1四半期のアウトブレイク数はそれぞれ62件と68件で、ほぼ同じであった。しかし、2006年第2四半期は2005年同時期のほぼ2倍で、第3四半期と2006年の10月と11月は、2005年同時期の4倍であった。
     2005年に同国でノロウイルス感染が疑われたアウトブレイクと検査機関で確認されたアウトブレイクの合計は、2000年〜2004年の中央値を超えなかったが、2006年1月から11月までのアウトブレイク数は前述の中央値を超え、2006年10月と11月は中央値の3倍であった。(縦軸:アウトブレイク数、線は2000?2004年の中央値)

     同国のノロウイルスサーベイランスは1998年に始まり、2002年からFBVEに参加している。アウトブレイクに関するルーチンの微生物調査が完了した後、代表検体がELISA法で分析され、陽性及び陰性の検体両者が国立リファレンス検査機関に送付され、PCR検査と比較遺伝子解析が行われる。
     1998年以降、これまで同国の胃腸炎アウトブレイク569件でノロウイルスが確認された。臨床データと疫学データによりノロウイルスが原因と考えられたものがさらに583件あった。
     これまでに収集されたサーベイランスデータによると、サーベイランス開始以来ノロウイルス感染患者が最も多かったのは2003/2003年であった。この期間のアウトブレイクの急増は、2002年にハンガリーを含むヨーロッパで検出された新しい変異型(GII.4 2002)の増加によるものであった。2006年のアウトブレイクの増加はこれと同様のパターンであり、新しい変異型GII.4 2006によるものであるが、2006/2007年のシーズンはまだ終了しておらず、最終的結論が引き出せるのはサーベイランスデータが揃い国際的に比較検討した後になる。
    http://www.eurosurveillance.org/ew/2006/061214.asp#2


    国立医薬品食品衛生研究所安全情報部