Eurosurveillanceからのノロウイルス関連情報
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  • スウェーデンで発生したラズベリー喫食によるノロウイルス胃腸炎の4 件のアウトブレイク
    Four outbreaks of norovirus gastroenteritis after consuming raspberries, Sweden
    Eurosurveillance, Volume 11, Issue 9, July 2006
    (食品安全情報2006年19号(2006/09/13)収載)

     スウェーデンでは、2006 年6〜8 月に、4 件のノロウイルス胃腸炎のアウトブレイクが発生しており、ラズベリーが原因食品として疑われている。最初のアウトブレイクは6 月末に発生し、2 回目は8 月初旬、3 回目と4 回目は8 月末にそれぞれ発生した。すべてスウェーデン南西部で起こり、発症した43 人は全員様々な形でラズベリーを喫食していた。

    アウトブレイク1
     6 月23 日に、15 人のグループが開いた私的なパーティでクリームとラズベリーを使用した自家製ケーキが喫食され、翌日または2 日後に12 人が胃腸炎症状を訴えた。患者2 名から採取した糞便の検体を検査した結果、PCR 法による判定でノロウイルス陽性であった。

    アウトブレイク2
     8 月2 日、スウェーデン西海岸に11 人の家族が集まり、全員でラズベリーチーズケーキを喫食した。翌日、10 人に典型的なノロウイルス感染症の兆候が見られ、後日二次症例の報告が2 件あった。当局にアウトブレイクが報告された時点ですでに患者は回復していたため、糞便の検体は採取されなかった。アウトブレイクの調査期間中、チーズケーキに入っていたラズベリーがアウトブレイク1 で使用されたものと同ブランドで、中国からの輸入品であることがわかった。

    アウトブレイク3
     8 月24 日、13 歳の学生30 人のクラスが飲料にラズベリーを調合し、1人は8 月26 または27 日に発症した。郡の医療技官によりコホート研究が実施され、12 人の感染が明らかになった。潜伏期間は24〜36 時間、症状は嘔吐、発熱、下痢、頭痛などで、発症期間は1〜3 日間であった。2 名から採取した糞便の検体は、PCR 法でノロウイルス陽性であり、プラスチックバッグにあったラズベリーの食べ残しはその後の分析のため保存された。このラズベリーもその他のアウトブレイクと同じブランドであった。

    アウトブレイク4
     8 月25 日に開かれた9 人のグループの会議で、参加者は仕出し店が調理した具材入りサンドイッチと自家製ラズベリーパフェを喫食した。この後9 人全員が発症し、糞便サンプル1 検体を検査した結果、ノロウイルス陽性であった。ラズベリーの残りを検査し、結果は保留中である。このラズベリーもそれまでのアウトブレイクと同ブランドであった。

     4 件のアウトブレイクは何れも同じブランドのラズベリーが原因と考えられ、これらはスウェーデンの同じ輸入業者が中国から輸入したものであった。2 件のアウトブレイクで使用10されたラズベリーの詳細な検査結果は保留中で、8 月23 日に2 つのバッチのラズベリーが市場から回収された。
     近年、冷凍輸入ラズベリー由来のノロウイルスによる胃腸炎のアウトブレイクがヨーロッパ各国から報告されており、スウェーデンでは2000 年以降、ラズベリーを含む食品が原因と考えられるノロウイルスによる胃腸炎のアウトブレイクが11 件発生している。
    http://www.eurosurveillance.org/ew/2006/060907.asp#1


    国立医薬品食品衛生研究所安全情報部