最近多発しているクルーズ船でのノロウイルス感染アウトブレイクについて、ヨーロッパのウイルス性腸内感染症の予防のためのネットワークであるDIVINE-NET (http://www.eufoodborneviruses.co.uk/DIVINEVENT/DIVIndex.asp)が調査を行っている。2006年7月5日までに、ヨーロッパ周辺を航行しているクルーズ船13隻から胃腸感染アウトブレイクが35件報告され、13隻のうち9隻でノロウイルスが確認された。患者1,088人が報告され、少なくとも642人(59%)が乗客、64人(6%)が乗組員であった。最も新しいアウトブレイクは7月5日に報告された。調査では、次の2つの仮説に重点が置かれた。
1. 共通の感染源(食品または水)からノロウイルスが侵入した。
2. 新しい変異株によってコミュニティでの感染が増加しているのと同様に、クルーズ船上でもこの変異株のノロウイルスが蔓延した。
13隻のうち9隻でアウトブレイクが連続して報告され、船上にノロウイルスが存在し続けていることが示されている。また、新しい乗客によってウイルスが侵入し、アウトブレイクが再発生している。
ウイルス学的調査により、2つの新しい変異型GGII4によるアウトブレイクが確認された。世界中に統一された配列比較ができるよう、一般的に利用できる、遺伝子を用いた株マッチングシステムが設立されている。(http://www.rivm.nl/bnwwwにおいて、”Foodborne viruses in Europe”、”quick typing database”のリンクをたどることで利用できる)また、株の比較はfbve@rivm.nl に依頼することも可能である。
アウトブレイクが発生した船では後ろ向きコホート研究と衛生対策の見直しが予定されており、様々な状況におけるノロウイルスの管理に関する指針が見直されている。DIVINE-NET参加者による調査は続行されている。共通の感染源は判明しておらず、クルーズ船のアウトブレイクはコミュニティにおける感染の増加を反映していると考えられている。
http://www.eurosurveillance.org/ew/2006/060706.asp#5