Eurosurveillanceからのノロウイルス関連情報
http://www.eurosurveillance.org


  • ケータリング食品によるノロウイルス感染アウトブレイク、オーストリア、2005年9月
    Outbreak of norovirus infections associated with consuming food from a catering company, Austria, September 2005
    Eurosuveillance、volume 10 issue 10, 20 October 2005
    (食品安全情報2005年22号(2005/10/26)収載)

     2005年9月6日、オーストリア南部の電気製品工場で1,357人の従業員のうち120人が嘔吐や下痢を訴えた(発症率8.8%)。多くの従業員が同じ日に発症したので、単一の汚染源が示唆された。地元のケータリング業者がこの工場に食品を提供していた。予備調査により、ケータリング業者の従業員1人が9月4〜5日に胃腸疾患の症状を呈し、その間も手袋を使用せずにサンドイッチを調理していたことがわかった。また、調理師の1人が9月1日に、他の従業員も9月4日(1人)、6日(2人)、7日(1人)、8日(2人)に発症していた。
     アウトブレイクの原因を特定するため、工場従業員に対するコホート調査が行われている。地域の食品検査機関が9月7日にケータリング業者を閉鎖し、消毒を勧告した。衛生対策が完了するまで1週間閉鎖され、病気の従事者は悪心、下痢、嘔吐が少なくとも48時間みられなくなるまでは職場に復帰しないことを要求された。
     検便検体の病原菌検査では全検体が陰性であった。9月12日、RT-PCR検査で19検体すべてがノロウイルス陽性であった。ケータリング業者の従業員からの分離株と工場従業員からのものは区別がつかなかった。
     工場でのアウトブレイクの感染源は特定されていないが、ケータリング業者の従業員によって食品がウイルスに汚染された可能性が高いとみられている。今回のアウトブレイクでは、食品営業管理者のためのガイドラインの重要性が強調されている。これによると、下痢や嘔吐を呈している食品施設の従事者は管理者に報告し、食品を取り扱ってはならないことになっている。また、24時間以内の症状が下痢か嘔吐のいずれか一つで発熱がない場合、仕事に復帰できる。症状が続いている場合は、嘔吐、軟便のいずれかが48時間みられなくなれば復帰できる。
    http://www.eurosurveillance.org/ew/2005/051020.asp#7


    国立医薬品食品衛生研究所安全情報部