Nothern Jutlandの2つの病院で、5月21〜22日に患者101人と職員101人、その後4日間にさらに患者43人と職員52人、親戚4人が嘔吐と下痢を起こした。職員と入院患者の合計120人を対象に症例対照研究が行われた。発症した職員は全員、5月20日に勤務に就いていた(オッズ比 15; 95% 信頼区間(CI) 3.4〜71)。冷凍ラズベリー入りフロマージュ・ブラン(フレッシュチーズ)及びラズベリー入りの他のデザートと疾患との間に関連性が認められた(それぞれ、オッズ比:無限大, lower CI 3.4、オッズ比 6.2; 95% CI:1.6 〜26)。検便検体からノロウイルス感染が確認された。
一方、Sjaellandとコペンハーゲン周辺地域では、6月3日から高齢者が胃腸感染症を発症した。患者は共通のケイタリング業者の食事を摂取しており、6月1〜3日に1,100人に供されたラズベリーのデザートが感染源である可能性が高かった。冷凍ラズベリーは、上記の病院でのラズベリーと同一の輸入業者から購入されたものであった。6月23日現在、患者は少なくとも289人である。Sjaellandからの複数の検便検体がノロウイルス陽性であった。
これは、冷凍ラズベリーのデザートによるノロウイルス感染のアウトブレイクの第1報である。二次感染も含めた全体範囲の調査、ラズベリーの微生物分析、検便検体の分析、ノロウイルスの遺伝子型の分析が現在行われており、遺伝子型は複数であることが示唆されている。感染源は早い時期にわかったが、冷凍ラズベリーの回収が遅れたためSjaellandでもアウトブレイクが起こる結果となった。Sjaellandでの発生後、回収が強化されている。ラズベリーはポーランドからの輸入品で、普通の小売店には配送されていない。他国への輸出は不明である。アウトブレイクはFood-borne viruses in Europe network (FBVE, http://www.eufoodborneviruses.co.uk)に報告され、European Early Warning and Response System (EWRS)とRapid Alert System for Food and Feed (RASFF, http://europa.eu.int/comm/food/food/rapidalert/index_en.htm ) を通じて国際的警告が発せられた。
これまでにも、ラズベリーによるノロウイルス感染のアウトブレイクの報告があり、最近では2005年3月に仏の学校からの報告があった。しかし、今回のデンマークの事例は、ラズベリーの製造業者が仏の事例と異なり、また仏の株(遺伝子グループI、遺伝子型5;Musgrove株)と同じ株は今のところ見つかっていない。
http://www.eurosurveillance.org/ew/2005/050623.asp#1