ザルツブルクでアメリカ人旅行者にノロウイルス感染のアウトブレイクが発生し、当初は食品由来と考えられたが、後に洪水によるものであることがわかった。
2005年6月1日、アメリカ人旅行者36人のうち26人がレストランでの食事後に胃腸疾患を発症した。検便検査と、多数の患者が同じ日に発症したことから、食品由来のノロウイルス感染と考えられた。疫学調査が開始され、過去1週間に摂取した食品を調査したが、特定の食品に関連性は認められなかった。しかし、旅行者グループがザルツブルクに到着した日、大雨でホテルが浸水し、旅行者が排水作業を手伝ってトイレからの排泄物に汚染された水に曝露していたことがわかった。感染源はこの下水への曝露であり、食事とは関係ないことが強く示唆された。また、ホテルの排水作業に携わった消防士10人も嘔吐や下痢を起こしている(ノロウイルスの検査は陰性であった)。
洪水により感染症が発生するリスクはあるが、避難活動や飲料水汚染などが起きる大規模なものでなければリスクは低い。今回はこのような大規模の洪水ではなく、この水由来ノロウイルス感染では、人間の排泄物に汚染された水に直接接触したこと、その後ヒト−ヒト感染があったことが重要であった。
http://www.eurosurveillance.org/ew/2005/050616.asp#3