2004年10月以来、オランダで急性胃腸疾患のアウトブレイクの報告が増加しており、これまでに確認できた件はすべてノロウイルスが原因であった。他国でも増加がみられ、ヨーロッパと米国でノロウイルスのアウトブレイクが急増した2002年の再来が疑われている。2002年の原因はGGII.4遺伝子型の新しい変異型ノロウイルスであった。
オランダでは、2004年8月初めからアウトブレイクが71件報告されており、このうち44件のウイルスが新しいGGII.4 配列に属していた。この変異型ウイルスは、既に2004年南半球の冬季にオーストラリアで多数のアウトブレイクを引き起こしていた。Food-borne viruses in Europe network (FBVE, http://www.eufoodborneviruses.co.uk/)サーベイランスのデータによるとGGII.4が他の変異型より集団施設でのアウトブレイクの原因となることが多いという、これはGGII.4が容易に伝播し、流行を起こしやすいことを示唆している。
株間の毒性の違い、急速に伝搬するメカニズムの生物学的バックグラウンド、ノロウイルスの小さな変異が研究されており、変異型ノロウイルスの遺伝子的バックグラウンドの詳細はfbve@rivm.nlへemailを送ることで入手できる。
予防
医療施設、ホテル、クルーズ船などのためのガイドラインは検査による科学的根拠がまだ不十分であるが、次のような予防策が推奨されている。
・感染した人の隔離
・汚染地域を消毒する際の手袋とマスクの使用
・次亜塩素酸塩1,000-5,000 ppmを含む消毒剤の使用、スチームを用いたカーペットの消毒
・ベッドリネンは、洗剤、できれば漂白剤を含む物を用いて少なくとも70℃で洗濯
・ドアハンドル、水道栓、トイレ、浴室の手すりには特に注意
・手洗いを頻回に行うこと
・感染した職員の職場復帰は完治48〜72時間後とし、ウイルスの排泄が数週間続くことを認識させること
http://www.eurosurveillance.org/ew/2004/041223.asp#1