英国保健保護局(Health Protection Agency)のCommunicable Disease Surveillance Centre(CDSC)が、1992年以来、感染性腸管疾患(Infectious Intestinal Disease: IID)の一般的アウトブレイクに関する標準化データを収集している。ノロウイルスによるIIDアウトブレイク発生数には変動があるが、一般に毎年130〜250件である。1992年以降のイングランドとウェールズにおける発生には、二つのピークがあった。一つは、1995〜1996年で368件、もう一つは686件の発生があった2002年で、新しい変異遺伝子グループII 4の出現と同時であった。
全アウトブレイクの79%は医療提供施設(病院と入居介護施設)で発生しており、次いでホテル(7%)、学校(5%)であった。医療施設のアウトブレイクには、顕著な季節性がみられ、冬季にピークがあったが、他の場所での発生ではこのような季節性は認められなかった。また、医療施設の場合は致死率が高く、他の施設よりアウトブレイクの期間が長いが、人数は比較的少なく食品由来が少なかった。
南西イングランドの医療施設でのアウトブレイクを最近の調査では、63%でノロウイルスが確認され、主要原因であることを示している。2003年、ノロウイルスによるIIDアウトブレイクは220件、2004年は10月までに148件が報告された。最も多かった地域は、2003年がNorth West、YorkshireおよびHumbersideで、2004年は現在までのところ、North East、YorkshireおよびHumbersideである。2003年に確認されたノロウイルスによるIIDアウトブレイクの78%は医療施設でおきており、2004年は74%である。
感染経路は人−人感染が最も多く、1992年以降ではこの経路が86%、食品感染が4%、食品感染後の人−人感染が3%である。人−人感染は、2003年が88%、2004年が87%である。
2004年9月〜11月中旬、ノロウイルスによるIIDアウトブレイクは33件で、2003年同時期とほぼ同じである。2004年の全データは暫定のものである。
http://www.hpa.org.uk/cdr/archives/archive04/news/news4704.htm#norovirus