2002〜2003年冬季にノロウイルスによる胃腸疾患が著増したため、研究所サーベイランス、定点サーベイランスおよび蔓延している株のマッピングから成るサーベイランスが行われることになった。研究所サーベイランスは2003〜2004年冬季を対象に行われ、残り二つは2004〜2005年に向けて計画されている。研究所サーベイランスの目的は、患者の地理的分布と人口統計学的特徴の確認、異例の季節における増加と傾向の早期検出である。研究所がデータを週毎にSwedish Institute of Infectious Disease Control(SMI)に送り、SMIが照合や分析を行い、結果を医療従事者や研究所に送るという流れになっている。12の研究所が2003年43週から2004年25週までのデータを報告した。ノロウイルス陽性は692人、ピークは2004年9週で、年齢層は5歳未満と70歳以上に多かった。男性42%、女性57%、1%は不明で、5歳未満では性差がなく、70歳以上では人口構成を反映して男性より女性に多かった。また、患者は人口密度の高い地域と低い地域に多かった。以上のような年齢、性別、地理的分布は、ラボの分布やサンプル採集への関心の影響を受けている可能性があり、必ずしも実際の分布を反映していない。定点サーベイランスと蔓延株のマッピングが行われれば、データの質が向上すると考えられる。
http://www.eurosurveillance.org/ew/2004/040812.asp#1