(食品安全情報(微生物)2013年16号(2013/08/07)収載)
米国疾病予防管理センター(US CDC)は、複数州の公衆衛生当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているA型肝炎アウトブレイクを調査している。調査の主な暫定結果は以下の通りである。
疫学調査
2013年8月1日時点で、冷凍ベリー・ザクロ混合製品(Townsend Farms Organic Antioxidant Blend)の喫食後にA型肝炎を発症した確定患者が10州から計158人報告されている(図)。ウィスコンシン州から報告された患者はカリフォルニア州で本製品に暴露し、ニューハンプシャー州から報告された患者はネバダ州への旅行中に暴露した。ニュージャージー州の患者はコロラド州の確定患者と家庭内で接触した。現在、家庭内で確定患者と接触した6人の感染が確認されている(二次感染患者)。
図:A型肝炎ウイルスアウトブレイク株の感染患者数(2013年8月1日までに報告された患者、n=158)
微生物学的調査
8州の患者計107人の臨床検体から、遺伝子型が1BであるA型肝炎ウイルス(HAV)アウトブレイク株が検出された。この8州はアリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、ニューハンプシャー、ニューメキシコ、ネバダおよびウィスコンシンである。この遺伝子型は南北アメリカ大陸ではあまり見られず、北アフリカおよび中東地域で流行している。
この遺伝子型は、冷凍ベリーに関連して欧州で発生している2013年のアウトブレイク、およびエジプト産ザクロ入り冷凍ベリーミックスに関連してカナダ(ブリティッシュ・コロンビア州)で発生した2012年のアウトブレイクで同定されている。しかし、現時点ではこれらのアウトブレイクと今回の米国のアウトブレイクとの関連を示すエビデンスはない。
法規制上の調査
FDAの前向き・後ろ向き追跡調査およびCDCの疫学調査から得られた情報にもとづき、FDAおよびCDCは、最も可能性の高い感染源はトルコのGoknur Foodstuffs Import Export Trading社が輸出したザクロの1積み荷品であると判断した。
2013年6月4日、Townsend Farms社は、HAV汚染の可能性があるため、冷凍Organic Antioxidant Blendsの一部ロットの自主回収を開始した。2013年6月28日、同社は上記回収の対象を自主的に拡大した。
2013年6月26日、Scenic Fruit社は、HAV汚染の可能性があるため、 ”Woodstock Frozen Organic Pomegranate Kernels”の一部ロットの回収を開始した。
これらの回収に関する情報は定期的に更新されており、FDAの下記URLから入手可能である。消費者は、ザクロ入りの対象製品を喫食せずに廃棄すべきである。
http://www.fda.gov/Food/RecallsOutbreaksEmergencies/Outbreaks/ucm354698.htm
(US CDCによる消費者への助言)
http://www.cdc.gov/hepatitis/Outbreaks/2013/A1b-03-31/advice-consumers.html
(食品安全情報(微生物)No.15 / 2013(2013.07.24) US CDC、No.14 / 2013(2013.07.10) US FDA、US CDC、No.13 / 2013(2013.06.26) US CDC、PHAC、No.12 / 2013(2013.06.12) US FDA、US CDC 記事参照)