(食品安全情報2013年9号(2013/05/01)収載)
世界の人口の半数以上は都市部に居住している。食品マーケットは、多くの人々にとって生鮮農産物などの手頃な食品の主な入手先であり、経済的・社会的に重要な役割を果たしている。
鳥インフルエンザウイルスは、適切な調理と十分な加熱が施された食品を介して伝播することはないが、生きた動物を扱う食品マーケットでの食鳥処理や取扱いの際に感染動物からヒトへの伝播が起こり得る。したがって、当該マーケットでは動物とヒトとの接触を可能な限り制限することが重要である。
最近、中国東部においてヒトへの鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染が発生したことが報告され、生きた動物を扱う食品マーケットでは、動物ケージの適切なメンテナンスや糞便の適切な処理などの適正衛生規範の施行が求められている。
世界保健機関(WHO)は、食品マーケットでの高リスクな慣行を特定し、各地域の状況に即した持続可能な対策を策定するための各加盟国の努力を支援してきた。食品マーケットでのインフルエンザウイルス伝播のリスクを低減するには、適切な情報伝達と教育訓練が重要なポイントとなる。
一般にマーケットは資源の創出がほとんどない施設であり、そのため管理および改善のための資金が不足している。したがって、取り組むことは好ましいが公衆衛生リスクとして明確に立証されていない問題よりも、現実に公衆衛生リスクの要因であり緊急対応を要する問題を特定することが極めて重要である。