本プロジェクトでは、カリフォルニア州、ニューヨークおよびメキシコでヒトから分離された2009 A/H1N1インフルエンザウイルスに対し、米国の商業生産ブタ群の感受性を調査した。このために、米国内での流行が確認されている豚インフルエンザウイルスに暴露したブタ、または市販用ワクチンを接種したブタから採集した血清検体を検査した。その結果、新型2009 A/H1N1インフルエンザウイルスに対するこれらの血清の交差反応性は限定的であることが示された。このことから、米国内で過去に流行した豚インフルエンザウイルスにより誘導された既存の免疫では、現在ヒトで流行している新型2009 A/H1N1インフルエンザウイルスのブタへの感染を防ぐことができない可能性が示唆された。重要なことは、米国の養豚場のブタを豚インフルエンザウイルスから守るために現在使われているワクチンが、新型2009 A/H1N1インフルエンザウイルスに対しては効果がないかもしれないという点である。
ブタに誘導される抗体価と新型A/H1N1インフルエンザウイルス感染に対する予防能との相関を明らかにするため、今回調べた豚インフルエンザウイルスワクチンから選択したサブセットについて、ワクチン投与ブタへのウイルス接種実験を行う予定である。
詳細な報告書は以下のサイトから入手可能。
http://www.ars.usda.gov/2009H1N1/project1.pdf(Project 1)
http://www.ars.usda.gov/2009H1N1/