オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


オランダのブロイラーにおける人獣共通感染症サーベイランス(2018〜2019年)
Surveillance into zoonoses in broilers 2018-2019
03-09-2020
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2020-0073.pdf(報告書PDF)
https://www.rivm.nl/publicaties/surveillance-zoonosen-in-vleeskuikens-2018-2019

(食品安全情報2020年23号(2020/11/11)収載)


 動物はヒトの疾患の原因となりうる病原体を保有していることがあり、その病原体による疾患は人獣共通感染症として知られている。2018〜2019年に、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)およびオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)は、これらの病原体の一部についてブロイラーにおける汚染率を調査した。この調査では、農場198カ所のブロイラーと、畜産農場主・その家族・従業員の計132人を対象とした。RIVMは、対象者がブロイラーと同じ病原体を保有しているかどうかの調査を行った。これらの病原体の多くは感染すると通常は下痢を発症するが、さらに重い症状を呈する場合もある。基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌についても、一部の重要な抗生物質に耐性であることから調査の対象にした。

 多くの種類の病原体が、調査対象のブロイラーに高頻度に存在している。それらは動物の腸内に存在するため糞尿にも含まれており、とちく場で食肉部分と糞便が直接接触した場合、食肉が病原体に汚染される可能性がある。鶏肉を喫食する際は、十分に加熱したもののみを喫食することで感染を防ぐことができる。また、他の食品が生の食肉と接触しないようにすることも重要である。

 調査を行った病原体のうちESBL産生菌の汚染率が最も高く、36%の農場のブロイラーが汚染されていた。畜産農場主とその家族では、対象者の7%からESBL産生菌が検出された。これは、オランダ国民全般におけるESBL産生菌の検出率とほぼ同じである。

 カンピロバクターは32%のブロイラー農場で検出された。これは、1999〜2002年に行われたカンピロバクターの調査で得られた数値と同レベルである。対象者の2人からもカンピロバクターが検出された。

 サルモネラについては、欧州連合(EU)規則にしたがって全ブロイラー農場でサーベイランスが行われている。11%の農場のブロイラーからサルモネラが検出された。これらは、ヒトの下痢の原因となり得る種類のサルモネラであった。対象者の1人からもサルモネラが検出された。

 リステリアまたは志賀毒素産生性大腸菌(STEC)が検出されたブロイラー農場はごく少数で、調査した農場の1%(リステリア)および1%未満(STEC)であった。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部