オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


オランダでの食品由来アウトブレイクの発生状況に関する報告書(2006〜2017年)
Food-related outbreaks in the Netherlands: 2006-2017
2020-03-24
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2019-0059.pdf(報告書PDF、オランダ語)
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2019-0059.html

(食品安全情報2020年12号(2020/06/10)収載)


 食品はヒトの疾患の原因となり得る。2人以上が同じ食品を喫食後に同時期に疾患を発症する事例を「食品由来アウトブレイク(food-related outbreak)」と呼ぶ。オランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)および地方自治体保健サービス当局(GGDs)は、さらなる患者およびアウトブレイクの発生を防止するため、食品関連感染症と食中毒の登録および調査を行っている。RIVMはこれらのデータの統合・分析を行っている。オランダでは、2006〜2017年に食品由来アウトブレイク計4,155件および患者計21,802人が登録された。最も多く検出された病原体は、ノロウイルス、サルモネラおよびカンピロバクターであった。

 アウトブレイク138件については原因食品を追跡することができ、これらのアウトブレイクで最も高頻度に特定された原因病原体は、セレウス菌、サルモネラ属菌およびノロウイルスであった。セレウス菌が産生する有害物質はチャーハンや麺類などの複合食品から最も高頻度に検出される。これらの有害物質は、食品の冷却が迅速に行われなかった場合に形成され、加熱後も有害性が残る。病原体は、食肉、甲殻類およびその他の水産食品から最も頻繁に検出される。

 NVWAおよびGGDsは専門知識を駆使し、問題となった感染源および原因病原体の特定に取り組んでいる。NVWAは、食品の病原体汚染の有無、その食品の供給元、製造場所および流通地域の調査を行っている。GGDsは、汚染食品に曝露した人に焦点を当て、これらの情報から可能性がある感染源を推定している。

 RIVMは毎年データを収集している。今回の報告書は2006〜2017年を対象としており、この期間の全体的な傾向を分析している。データ量がより多くなることで、アウトブレイクの原因となる頻度が高い食品および病原体が明確化されている。

 本報告書に記載されている数値は、食品由来アウトブレイクの実際の発生件数および患者数が過小評価されたものと考えられる。その理由として、特に、患者が一般診療医(GP)の受診やNVWAへの報告を必ず行うとは限らないこと、また、汚染食品が感染源であったかどうかが必ず明らかになるとは限らないことが挙げられる。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部