オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


オランダにおける人獣共通感染症の発生状況(2018年)
Prevention essential theme State of Zoonotic Diseases 2018
12/05/2019
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2019-0185.pdf(報告書PDF、オランダ語)
https://www.rivm.nl/en/bibcite/reference/327611(報告書ページ)
https://www.rivm.nl/en/news/prevention-essential-thema-state-of-zoonotic-diseases-2018

(食品安全情報2020年5号(2020/03/04)収載)


 オランダで発生した人獣共通感染症に関する2018年の年次報告書が発表された。各種データの他に特集として毎年1つのテーマが取り上げられており、2018年のテーマは動物性食品の生産チェーンに重点を置いた人獣共通感染症の予防対策である。例年どおり、2018年も人獣共通感染症患者の病因物質として最も多かったのが食品由来細菌であった。このため、その予防対策が極めて重要である。

 人獣共通感染症は動物からヒトに伝播し得る感染症であり、その多くは食品を介して伝播する。これまでと同様、オランダにおける2018年の人獣共通感染症の発生状況に顕著な変化はみられなかった。2018年もまた、カンピロバクター、リステリア(Listeria monocytogenes)、サルモネラ、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)などの食品由来細菌が人獣共通感染症患者の最も多い病因物質であった。STEC感染患者数はここ数年減少していたが、2018年(487人)は2017年(393人)よりやや増加した。レプトスピラ症患者は2014年に急増した後、徐々に減少した。レプトスピラ症には、げっ歯類の尿に汚染された地表水での水泳など様々な方法で罹患する。2018年に患者数は再び減少したものの、2014年以前に比べると依然として多い。

 本報告書の2018年の特集テーマは、動物性食品の生産チェーンに重点を置いた人獣共通感染症の予防対策である。また、オランダで実施されているヒトにおける人獣共通感染症の予防対策の概要も掲載されている。たとえば、乳用のヤギに行っているQ熱の予防接種である。また、と畜場の従業員は自身の感染および取り扱っている食肉の汚染を防ぐため、作業服の着用、手洗い、作業中に飲食・喫煙を行わないことなどの衛生対策を行っている。消費者が家庭で行うことができる感染予防対策として、適切な温度での食品の保存などがある。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部