オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


オランダの肉牛飼育農場での人獣共通感染症調査(2017年)
Investigation into zoonoses in beef cattle farms in 2017
2019-07-30
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2019-0081.pdf(報告書PDF)
https://www.rivm.nl/publicaties/onderzoek-zoonosen-in-vleesveehouderij-in-2017

(食品安全情報2019年20号(2019/10/02)収載)


 動物はヒトの病原体を保有していることがあり、その病原体による疾患は人獣共通感染症として知られている。2017年、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)およびオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)は、このような病原体の一部について肉牛における汚染率を調査した。この調査では、196カ所の農場のウシと、畜産農家・その家族・従業員の計129人を対象とした。RIVMは、対象者がウシと同じ病原体を保有しているかどうかの調査を行った。このような病原体の多くは、感染すると通常は下痢を発症するが、さらに重い症状を呈する場合もある。基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌についても、一部の抗生物質に耐性であることから調査の対象にした。

 一部の病原体は、調査対象のウシに高頻度に存在していた。それらは動物の腸内に存在するため糞便にも含まれており、と畜場で食肉部分と糞便が直接接触した場合、食肉が病原体に汚染される可能性がある。牛肉を喫食する際は、十分に加熱したもののみを喫食することによって感染を防ぐことができる。また、他の食品が生の食肉と接触しないようにすることも重要である。

 カンピロバクターはウシでの汚染率が特に高く、86%の農場のウシが汚染されていた。畜産農家・その家族・従業員では、対象者の2%からカンピロバクターが検出された。

 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)およびESBL産生菌のウシでの汚染率は比較的低く、それぞれ25%と15%の農場のウシから検出された。対象者の1人がSTECを保有していた。ESBL産生菌は対象者の7%から検出された。これはオランダ国民における割合とほぼ同じである。

 サルモネラは4%の農場のウシから検出された。これらの多くは、ヒトの下痢の原因となり得る種類のサルモネラであった。サルモネラは、調査対象の畜産農家・その家族・従業員からは検出されなかった。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部