英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
https://www.food.gov.uk


英国産市販生鮮丸鶏のカンピロバクター汚染調査の結果を発表
A microbiological survey of Campylobacter contamination in fresh whole UK-produced chilled chickens at retail sale (Y2/3/4)
13 August 2019
https://www.food.gov.uk/sites/default/files/media/document/fs102121-year-4-campylobacter-report.pdf(第4年次調査報告書)
https://www.food.gov.uk/research/foodborne-diseases/a-microbiological-survey-of-campylobacter-contamination-in-fresh-whole-uk-produced-chilled-chickens-at-retail-sale-y234

(食品安全情報2019年19号(2019/09/18)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)は、市販の生鮮丸鶏のカンピロバクター属菌汚染レベルについて、FSAプロジェクトFS102121(2017 / 2018)として第4年次調査を英国全域にわたり実施し、今回その結果報告書を発表した。


調査方法

 2017年8月〜2018年7月に英国産の生鮮丸鶏計1,769検体の検査が行われた。最初の4カ月間には、様々な種類の小売店から計1,044検体が採取された。市場シェアが上位の小売チェーン9社については、各社が独自に検査を行ってその結果を各社の消費者向けウェブサイトに発表するという方法に変更することに同意が得られたため、FSAは最初の4カ月が過ぎた後は検査対象を小規模小売店の製品に絞ることを決定した。検体は英国全域から採取され(各地域の人口に比例して)、イングランド公衆衛生局(UK PHE)の3カ所、北アイルランドの1カ所(Agri-Food & Biosciences研究所、Belfast)の計4カ所の検査施設で検査が行われた。放し飼い飼育および有機飼育の割合を考慮して偏りがないように小売店から検体が採取された。


結果

 第4年次調査の最初の4カ月間に1,044検体の鶏肉が大規模小売店を含む様々な種類の小売店から採取され、このうちの98%は2017年8〜10月に検査が行われた。その結果、頚部皮膚検体の56%でカンピロバクター属菌が検出され、7%が>1,000 cfu/g(高レベル)の汚染を示した。高レベルのカンピロバクター汚染を示す鶏肉の割合は小売店の種類により有意な差があり(割合の範囲は0〜28%[編者注:FSAの記事では21%と記載されているが、報告書では28%となっている])、これは、検体の残存保存可能期間、鶏肉のサイズ(重量)、検体採取時期、飼育方法の違いでは説明がつかなかった。食鳥処理施設を特定する認可コード番号別の比較でも高レベルの汚染を示す鶏肉の割合に有意差が認められ(割合の範囲は0〜27%)、また、一部の小売店は主に特定の認可食鳥処理施設から鶏肉を仕入れていたことがわかった。サイズの小さな鶏肉と大きな鶏肉で、高レベルの汚染を示す鶏肉の割合に有意な差は認められなかった。外部にアクセスできる(放し飼い、有機飼育など)鶏の方が、標準的な条件下で飼育された鶏より汚染率が高いことを示すエビデンスはなかったが、放し飼いや有機飼育の鶏肉の検体数は非常に少なく、比較の精度は限定的であった。

 小規模小売店の鶏肉については2017年8月〜2018年7月の1年間にわたり検査が行われた(n=829)。小規模小売店の鶏肉皮膚検体の75%からカンピロバクター属菌が検出され、15%から高レベルの汚染が検出された。認可コード番号別の比較では高レベルの汚染を示す鶏肉の割合に有意差が認められ、割合の範囲は0〜24%であった。小規模小売店の検体は1年間にわたり採取されたが、検体採取時期が異なっても、高レベルのカンピロバクター属菌汚染を示す検体の割合に有意差はなかった。サイズの小さな鶏肉と大きな鶏肉で高レベルの汚染を示す鶏肉の割合に有意差は認められず、また、外部にアクセスできる(放し飼い、有機飼育など)鶏の方が標準的な条件下で飼育された鶏より汚染率が高いことを示すエビデンスもなかった。

 分離株について種の特定が行われた皮膚検体(n=1,024)のうち、78%からはCampylobacter jejuniのみが検出され、16%からはC. coliのみが、6%からはこれら両種が検出された。C. coliは、外部にアクセスできる鶏の方が標準的な条件下で飼育された鶏より高頻度に分離された。

 小規模小売店から1年間(2017年8月〜2018年7月)にわたり採取された検体では、C. jejuniの汚染率は夏季の方がそれ以外の季節よりやや低かったが、この差は統計学的に有意ではなかった。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部