欧州食品安全機関(EFSA)からのカンピロバクター関連情報
https://www.efsa.europa.eu/en


食料生産動物および食品に由来する人獣共通感染症細菌および指標菌の抗菌剤耐性に関して統一化されたモニタリングを行う場合の技術仕様書
Technical specifications on harmonised monitoring of antimicrobial resistance in zoonotic and indicator bacteria from food-producing animals and food
5 June 2019
https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.2903/j.efsa.2019.5709(報告書PDF)
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5709

(食品安全情報2019年20号(2019/10/02)収載)


 欧州連合(EU)では、食料生産動物とその食肉に由来するサルモネラ、カンピロバクター(Campylobacter coliCampylobacter jejuni)、大腸菌、腸球菌(Enterococcus faecalisEnterococcus faecium)、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の抗菌剤耐性(AMR)について、統一化された方法によるモニタリングおよび報告が行われている。本報告書には、AMRの最近の傾向、データ収集のニーズおよび科学の進歩を考慮しつつ、公衆衛生上の観点からこれらを更新するための提案が示されている。

 分離株のAMRの表現型モニタリングは、微量希釈法による感受性試験および疫学的カットオフ値による耐性の判定などが行われているが、このモニタリングは今後強化されるべきである。具体的には、広域スペクトルセファロスポリンおよびカルバペネムへの耐性を示す大腸菌およびサルモネラ分離株の詳細な解析、および基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)/AmpC型βラクタマーゼ(AmpC)/カルバペネマーゼ産生性大腸菌株の特別モニタリングを行うべきである。菌種、食料生産動物・食肉および抗菌剤パネルの組み合わせに関しては、必要に応じて見直しおよび調整が行われた。耐性の状況およびその時間的傾向を所定の精度で分析する統計的検出力を評価し、統一化されたサンプルサイズの決定に役立てるために、様々なサンプルサイズでのシミュレーションが何回も行われた。比例割当層化抽出法(generic proportionate stratified sampling process)にもとづく無作為検体抽出について、見直しおよび改善が行われた。MRSAの汚染率、遺伝的多様性およびAMRのモニタリングについて、統一化の向上に向けた提案が示されている。ブタにおけるMRSAおよび魚介類や環境中の細菌におけるAMRについて特別の横断的調査を行い、所定のモニタリングを補完することが提案されている。ESBL/AmpC/カルバペネマーゼ産生性大腸菌特別モニタリングで得られた分離株の全ゲノムシークエンシング(WGS)解析を、次回の規則の有効期間中は任意だが、当該有効期間の終了時までには義務化する可能性をもたせて実施し、ESBL/AmpC/カルバペネマーゼをコードする遺伝子の配列をEFSAに報告することが強く提唱されている。EU抗菌剤耐性リファレンス検査機関により、WGS解析/解釈のための統一化プロトコルおよび外部精度評価(EQA)プログラムが提供される予定である。

(関連ニュース記事)
抗菌剤耐性への取り組みにおいて全ゲノムシークエンシング(WGS)解析が有用
Whole genome sequencing shows promise in fight against AMR
5 June 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/190605



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部