米国疾病予防管理センター(US CDC)からのカンピロバクター関連情報
https://www.cdc.gov


メキシコ産カキに関連して複数州にわたり発生している胃腸疾患アウトブレイク(2019年5月22日付更新情報、10日付初発情報)
Multistate Outbreak of Gastrointestinal Illnesses Linked to Oysters Imported from Mexico
May 22 & 10, 2019
https://www.cdc.gov/vibrio/investigations/rawoysters-05-19/index.html

(食品安全情報2019年11号(2019/05/29)収載)


 米国疾病予防管理センター(US CDC)および複数州の公衆衛生・食品規制当局は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキに関連して複数州にわたり発生している胃腸疾患アウトブレイクを調査している。2019年5月6日、当該水域で採捕されたカキの米国での販売業者1社が当該製品の自主回収を発表した(以下のWebページ参照)。

https://www.cdph.ca.gov/Programs/CEH/DFDCS/CDPH%20Document%20Library/FDB/FoodSafetyProgram/FoodRecalls/May%202019/fdbFrDC1n.pdf

翌7日に当該水域は閉鎖され、調査結果が出るまで採捕禁止となっている。

2019年5月22日付更新情報

 2019年5月10日付の初発情報以降、新たに1人が本アウトブレイクの患者に加えられ、また、検査機関での追加検査によりEstero El Cardon水域由来の生カキとの関連が裏付けられなかった別の1人が本アウトブレイクの患者から除外された。

 2019年5月22日までに、5州から計16人の患者が報告されている(図)。本アウトブレイクの患者は、V. parahaemolyticusS. flexneri、STEC non-O157(O157以外の血清群の志賀毒素産生性大腸菌)、V. albensis、カンピロバクター(Campylobacter lari)、ノロウイルス(GI)などの病原体のうちの1種類に感染、または複数種類に混合感染している。

図:1種類または複数種類の胃腸病原体アウトブレイク株に感染した患者(2019年5月22日までに報告された居住州別患者数、n=16)


 患者の発症日は2018年12月16日〜2019年4月17日である。情報が得られた患者15人の年齢範囲は26〜80歳、年齢中央値は38歳で、60%が男性である。臨床に関する情報が得られた患者15人のうち2人(13%)が入院した。

アウトブレイク調査

 CDC、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキに関連して発生している胃腸疾患患者を調査している。2019年3月29日、PulseNet(食品由来疾患サーベイランスのための分子生物学的サブタイピングネットワーク)により患者由来検体で遺伝学的に近縁な腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)が確認され、複数州にわたる調査が同日に開始された。疫学・追跡調査の結果は、これらの患者がメキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキを喫食したことを示した。複数州の公衆衛生当局は、当該採捕水域由来の生カキを喫食後発症した患者が他にも数人いることを特定した。FDAは、現在CDCの調査対象となっている患者の一部を調査している。

 患者に対し、発症前1週間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査が実施された。すでに聞き取りが行われた患者15人全員が、カリフォルニア州およびネバダ州の様々なレストランでの生カキの喫食を報告した。各州の公衆衛生当局がこれらの患者15人について追跡情報を収集した結果、当該生カキの出荷業者としてメキシコのSol Azul社(バハ・カリフォルニア・スル州Mulege)が、採捕水域としてEstero El Cardonが特定された。当該製品は、カリフォルニア、ネバダ、ニューヨークおよびアリゾナの各州に出荷された。また、メキシコからの直接輸入や米国内での再出荷により、その他の州にも当該製品が流通している可能性がある。当該製品は、レストランへの直接販売を行っている卸売業者に出荷され、食料品小売店には販売されていない。

 メキシコの公衆衛生当局の要請により、2019年4月最終週〜5月第1週に出荷されたすべての生カキが回収されている。FDAはメキシコの公衆衛生当局との連携を継続しており、各州・地域当局は、当該製品の市場からの確実な撤去および出荷停止の確認を続けている。

2019年5月10日付初発情報

 本アウトブレイクの公衆衛生調査では、アウトブレイク患者を特定するためにPulseNetのシステムおよび疫学・追跡調査から得られるエビデンスを利用している。PulseNetは、公衆衛生当局および食品規制当局の検査機関による分子生物学的サブタイピング結果をCDCが統括する全米ネットワークシステムである。患者から分離された細菌株には、WGS(全ゲノムシークエンシング)法によってDNAフィンガープリンティングが行われる。CDCのPulseNet部門は、アウトブレイクの可能性を特定するため、このようなDNAフィンガープリントの国内データベースを管理している。本アウトブレイク患者由来の細菌株についてWGS解析を実施した結果、V. parahaemolyticusの計3株が遺伝学的に相互に近縁であることが示され、また赤痢菌(Shigella flexneri)の計5株も遺伝学的に相互に近縁であることが示された。このような遺伝学的近縁関係を示す株に感染した患者は感染源が共通である可能性が高い。

 疫学・追跡調査の結果は、これらの患者がメキシコのバハ・カリフォルニア・スル州Estero El Cardon水域で採捕された生カキを喫食したことを示した。複数州の公衆衛生当局は、当該採捕水域由来の生カキを喫食後に発症した患者が他にも数人いることを特定した。

 2019年5月10日までに、5州から計16人の患者が報告されている。本アウトブレイクの患者は、V. parahaemolyticusS. flexneri、STEC non-O157(O157以外の血清群の志賀毒素産生性大腸菌)、V. albensis、カンピロバクター(Campylobacter lari)、ノロウイルス(GI)などの病原体のうちの一種類に感染、または複数種類に混合感染している。

 患者に対し、発症前1週間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査が実施された。すでに聞き取りが行われた患者15人全員が、カリフォルニア州およびネバダ州の様々なレストランでの生カキの喫食を報告した。各州の公衆衛生当局がこれらの患者15人について追跡情報を収集した結果、当該生カキの出荷業者としてメキシコのSol Azul社(バハ・カリフォルニア・スル州Mulege)が、採捕水域としてEstero El Cardonが特定された。



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部