ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からのカンピロバクター関連情報
http://www.bfr.bund.de/


高頻度にみられる下痢症病原体が多くの人にあまり知られていない(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の消費者調査の結果)
Common diarrhoea pathogen unknown to many people
14.05.2019
https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2019/16/common_diarrhoea_pathogen_unknown_to_many_people-240696.html
「BfR消費者調査(2019年2月)」
https://www.bfr.bund.de/cm/364/bfr-consumer-monitor-02-2019.pdf

(食品安全情報2019年14号(2019/07/10)収載)


 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は住民標本調査として「消費者調査(Consumer Monitor)」を実施しており、その最新の結果報告書が発表された。

 ドイツの消費者の認知度が高い健康リスクは、サルモネラ、遺伝子組換え食品および食品中のマイクロプラスチックであった。これらのリスクにもかかわらず、ドイツの消費者の4分の3以上が食品を安全だと考えていた。健康リスクのうち、抗微生物剤耐性、食品中のマイクロプラスチック、および食品中の残留植物保護剤については、ほとんどの消費者が懸念を感じていた。しかし全体としては、懸念を示す消費者の割合は、2018年夏季に行われた前回の調査より低下した。健康リスクへの消費者の関心は徐々に高まっている。しかしながら、消費者は台所の病原体のリスクを過小評価している。下痢症の病原菌としてカンピロバクターは最も高頻度にみられるが、今回の調査でサルモネラの認知度が96%であったのに対し、カンピロバクターの認知度は昨年より上昇したものの3分の1未満であった。

 抗微生物剤耐性、マイクロプラスチック、サルモネラなどのうちどの健康リスクが消費者に認知されているか、また、消費者は何に懸念を感じているか。本調査は、ドイツの消費者が健康リスクをどのように認識しているかについて半年ごとに分析を行っている。このため、一般家庭に居住する14歳以上の約1,000人を対象に、電話による聞き取り調査を実施している。

 最大の健康リスクとして、回答者は今回も、喫煙、気候変動と環境汚染、不健康または不適切な食事の問題を挙げた。今回初めて、ディーゼル排気および粒子状物質による汚染が健康リスクとして挙げられた。具体的に提示された個々の健康リスクに関する回答では、認知度が高いリスクとして、サルモネラ、遺伝子組換え食品に続き、食品中のマイクロプラスチックが今回初めて第3位となった。以下、抗微生物剤耐性、食品中の残留植物保護剤、食品の包装材および容器からのアルミニウム溶出が続いた。

 昨年と同じく、抗微生物剤耐性およびマイクロプラスチックにはほとんどの回答者が引き続き懸念を示した。しかし、前回の調査結果と比較すると、抗微生物剤耐性を懸念する消費者の割合はかなり低下し、11%低い57%になった。サルモネラおよび一酸化炭素についても、これらを懸念する消費者の割合は昨年より低下した。

 化粧品および衣料品が安全であると判断した消費者の割合は、前回の調査時と同程度であった。おもちゃについてはこの割合がやや低下した。ドイツ連邦政府機関による健康保護を信頼していると回答した消費者の割合は2018年より低下したものの、今回も半数以上が信頼していると回答した。

 本調査では、多くの消費者が関心を持つテーマに重点が置かれる。一方で、現時点では関心が高いとは言い難いにもかかわらず取り上げることが適切であると考えられる問題についても分析が行われる。たとえば、家庭での食品衛生、食品中のカビ、遺伝物質の部位特異的な改変のための新しいゲノム編集技術などである。2018年と同様、これらの問題は消費者の認知度が低く、また、特に懸念される問題ともみなされていない。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部