イングランド公衆衛生局(UK PHE)からのカンピロバクター関連情報
https://www.gov.uk/government/organisations/public-health-england


英国の人獣共通感染症に関する2015年次報告書
Zoonoses Report: UK 2015
23 June 2017
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/621094/UK_Zoonoses_report_2015.pdf (報告書PDF)
https://www.gov.uk/government/publications/zoonoses-uk-annual-reports

(食品安全情報2017年17号(2017/08/16)収載)


 Executive Summaryの胃腸感染症に関する部分を紹介する。


 2015年、英国のヒトの胃腸感染症にはいくつかの興味深い傾向がみられた。

 2015年の英国のカンピロバクター症検査機関報告患者数は63,292人で2014年より10%減少し、人口100,000人あたりの報告率は97.2で2014年の109.2に比べ低下した。この傾向は特にイングランドで顕著で、イングランドの報告率は2008年以降で最も低かった。北アイルランドの報告率は、英国内の他地域より低い状況が続いている。英国食品基準庁(UK FSA)が実施している小売生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染調査によると、2015年10〜12月の期間において皮膚検体の陽性率は59%で、高レベル(>1,000 cfu/g)の汚染を示す市販鶏肉の割合は11%であった。これらの数値は、2014年同時期のそれぞれ74%および19%に比べ、統計学的に有意な低下を示している。

 英国で報告されるクリプトスポリジウム症患者数は2015年に大幅に増加し、6,149人であった。これは2014年より33.7%の増加である。この増加は英国全体でみられ、7〜9月のCryptosporidium hominis感染患者の増加を反映していた。これらのC. hominis感染患者のうち予想を上回る割合の患者がスペインに渡航していた。また、2015年11月以降にC. parvum感染患者の増加がみられた。調査により、この増加は、特定のコーヒーショップチェーン(スーパーマーケット内で営業している場合もある)のサラダまたはサンドイッチの喫食が原因である可能性が高いことが示唆された。

 英国の2015年のサルモネラ症報告患者数(9,485人)は2014年(8,078人)に比べ17%増加し、2006年以降毎年続いた減少傾向が2015年は増加に転じた。

 志賀毒素産生性大腸菌(STEC/VTEC)感染の検査機関報告患者数は867人で、2014年の1,186人より減少した。2005年以降では、年間報告患者数が今回初めて1,000人を下回った。実患者数に対し大幅な過小評価である状況は変わっていないが、O157以外のSTECの報告患者数は306人から372人に増加した。これは、2013年から2014年に3倍に増加したことに比べると、僅かな増加であった。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部