（食品安全情報2017年7号（2017/03/29）収載）
欧州食品安全機関（EFSA）と欧州疾病予防管理センター（ECDC）は、人獣共通感染症細菌と指標細菌の抗菌剤耐性について欧州連合（EU）加盟28カ国から提出された2015年のデータの解析を共同で行い、「欧州連合域内のヒト、動物および食品由来の人獣共通感染症細菌と指標細菌の抗菌剤耐性に関する年次要約報告書（2015年）（The European Union summary report on antimicrobial resistance in zoonotic and indicator bacteria from humans, animals and food in 2015）」を発表した。ヒト・動物・食品由来の人獣共通感染性サルモネラおよびカンピロバクター、また、動物・食品由来の指標大腸菌およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）について抗菌剤耐性の解析が行われた。微生物学的耐性の評価には疫学的カットオフ（ECOFF）値が使用されたが、一部の加盟国についてはヒト分離株の定性的データがECOFF値の使用に相当する方法により評価された。
ヒト由来のサルモネラ分離株では、アンピシリン、スルホンアミドおよびテトラサイクリンに対する耐性率が高く、一方、第三世代セファロスポリン系薬への耐性率は低かった。肥育ブタおよび1歳未満の子牛由来のサルモネラおよび大腸菌分離株では、アンピシリン、テトラサイクリンおよびスルホンアミドに対する耐性率が高かったが、第三世代セファロスポリン系薬への耐性は稀であった。今回初めて、ヒト由来サルモネラ株、食肉（豚肉と牛肉）・肥育ブタ・子牛由来のサルモネラおよび指標大腸菌株について、基質特異性拡張型βラクタマーゼ（ESBL）／AmpC型βラクタマーゼ／カルバペネマーゼ産生のモニタリングが行われた。ESBL／AmpC産生菌の出現率（occurrence）およびヒト・食肉・動物検体のESBL／AmpC産生菌による汚染率（prevalence）には加盟国間で差があり、カルバペネマーゼ産生大腸菌はドイツが肥育ブタから、また、ベルギーが小売り豚肉からそれぞれ1株を検出した。肥育ブタ、1歳未満の子牛、およびそれらに由来する食肉から分離されたサルモネラおよび大腸菌株で、コリスチン耐性が低レベルでみられた。ヒト由来のカンピロバクター株、特にカンピロバクター・コリ（C. coli）では、シプロフロキサシンおよびテトラサイクリンに対する耐性率が極めて高かった。一部の国では、ヒト由来C. coli分離株の1/3〜1/2がエリスロマイシンにも耐性で、重症のカンピロバクター感染症治療の選択肢が狭められている。肥育ブタ由来のC. coli分離株でもシプロフロキサシンおよびテトラサイクリンへの耐性率が高かったが、エリスロマイシン耐性率は低レベルであった。ヒトおよび動物由来分離株で、極めて重要な抗菌剤への共耐性は全体的に稀であった。
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Antimicrobial resistance remains high, says EU report
22 February 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/170222